リコーダーJP コレルリ作品


トリオソナタ 第1番 作品1-1


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★この曲を収録したCDつき楽譜★
2140 リコーダー用 2400円+税
SR-066 リコーダー用 3800円+税
ダウンロード製品 620円(税込)

RG-140 リコーダー用 900円+税(絶版)


★解題★

 イタリアバロック最高の作曲家と目される作曲家・コレルリ(コレッリ)は、4冊・48曲にのぼる「トリオソナタ」を残しました。これらは元々は2丁のヴァイオリンと通奏低音のための作品ですが、アンサンブル曲として洗練された書法の、平明にして滋味あふれる作品ばかりです。言い換えれば「ヴァイオリンに密着した書法で華麗な演奏技巧を披露する」ような音楽(作品5のヴァイオリンソナタ集には多少そういう要素もあります)とは対極にあるわけですから、他のいろいろな楽器で演奏する可能性も大きなものになっています。

 ところで、コレルリが残してくれた6冊・72曲の出版作品が、いずれも珠玉の名品ぞろいであることは、あらゆる音楽家や音楽愛好家が一致して認めるところです。そして、そのうち実に3分の2を占めるのがトリオソナタなのです。いかにコレルリがこの形式を重視し、また愛していたかがわかるでしょう。

 それなのに、意外にもこれらのトリオソナタが演奏されたり聴かれたりする機会は、たいへん少ないのです。CDとして発売されている録音も、たとえば作品5のソロソナタ集に比べても格段に少なくて、とうてい多いとは言えません。ならば演奏会はどうかというと、ヴァイオリン奏者2人と通奏低音という編成での演奏会があまり多くないということもあって、やはり、名曲であるわりには聴く機会がありません。

 もっとも、「公開演奏会用」の音楽ではなく「身近な場所で身近な人たちとともに楽しむ」ための作品だったのですから、演奏会のプログラムに載ったりCD録音がされたりが少ないのは、元来どうでもいいことかも知れません。しかし、ならば、アマチュアのヴァイオリン奏者さんたちが、これを演奏して楽しんでいる例がどれほどあるのでしょうか?・・・・・・残念ながら、「そんなことをしている人たちは絶無に近い」というのが現実でしょう。

 「なんだ、誰も演奏しないし誰も聴かない曲なのか。要するに、つまらない曲だってことじゃないの?」

 とんでもない。 コレルリのトリオソナタは人類の至宝です。それなのにアマチュア愛好家にさえあまり演奏されていないのはなぜかといえば、たとえば、

 1 弦楽器奏者さんたちにとっては、所属しているアマチュア管弦楽団での活動が主な楽しみ方になっていることが多いのだろう
 2 アマチュアのチェンバロ奏者が滅多におらず、またヴァイオリン愛好家との接点も少ないのだろう
 3 小規模アンサンブルで遊ぶなら弦楽四重奏など鍵盤抜きの編成の方が格段に手軽だし、なじみ深い古典・ロマン派の名曲も多いので、多くの弦楽器奏者さんたちはその方が好きなのだろう

など、いろいろと考えられます。まぁ理由はともあれ、とにかく現状は、これほどの名作群が演奏される機会も聴かれる機会もたいへん少ないままになっているのです。

 そこで、「せっかくの名作がもったいない。ヴァイオリンの皆さんがご不要ならば、喜んでリコーダーにいただきましょう」というわけで、皆様に「ぜひ」と、お勧めする次第です。


 余談ですが、そもそも、イタリアバロック音楽全体がこういう目にあっていると言えます。実はここにこそ最高の音楽がある。なのに、そのことを知っているのはリコーダー愛好家だけである。----まぁ、それで良いのかも知れませんけど。



★解説★

 いわゆる「教会ソナタ」の様式で、4つの楽章から成り、緩・急・緩・急の構成です。

第1楽章はグラーヴェ(重々しく)4分の4拍子です。この曲の場合は「しめやかに」といった感じでしょうか。美しい3度の唱和に始まり、やがて歌いかわす音楽になっていって、間もなく終わります。短いながら気品あふれる名品で、しかも、たいへんやさしく演奏できます。

第2楽章はアレグロ(快活に)4分の4拍子で、2つの主題を持つフーガ、すなわち「二重フーガ」のように始まります。2分音符を中心とするなだらかな主題と16分音符の音階を中心とする活発な主題が、最初から組み合わされて提示されていきます。提示が終わると自由な部分になりますが、ここでは2分音符主題の反行形が重要な役割を担います。本格的なフーガならばまた何度か主題の提示部分がめぐってくるはずですが、この楽章の場合は最初の提示に続いて自由な展開を行い、そのまま終結に向かいます。

第3楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の3拍子です。2分音符・4分音符を中心とするきわめて平明な歩みで音楽がつくられていますが、2度音程でぶつかる響きのきしみをたくみに取り入れながら、ゆるみのない展開をみせます。

第4楽章は再びアレグロで、4分の3拍子です。たいへんシンプルでわかりやすい主題を扱います。最初は「舞曲ふうの素朴な音楽なのか?」と思いますが、間もなくフレーズの長さが不規則に変化し始め、意外性に満ちたスリリングな展開となります。終わり近くになって突如アダージョのけだるい音楽が挟まれる効果も心憎いばかり。そしてアレグロに戻ったと思うと一気呵成、鮮やかに全曲を締めくくります。


※演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章 (B2)
第2楽章 (C1)
第3楽章 (A2)
第4楽章 (B2)
※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: Duo Affettuoso (長谷川智彦さん・長谷川圭子さん) 電子チェンバロ: 石田誠司 



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