リコーダーJP テレマン作品


装飾範例つきソナタ 第8番


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★この曲を収録したCDつき楽譜★


1037 リコーダー用 1500円+税

SR-090 リコーダー用 3800円+税
ダウンロード製品 640円(税込)

RB-037 リコーダー用  900円+税 絶版



★解題★

 『装飾範例つきソナタ集』は、緩徐楽章について、作曲者自身が装飾のお手本を示して、アマチュアの学習の便に供しようというコンセプトのソナタ集です。第1番〜第6番が「ヴァイオリンまたは横吹きフルート用」(1728年)、第7番〜第12番が「横吹きフルートまたはヴァイオリン用」(1732年)として、いずれもハンブルグで出版されました。
 そういうわけで、残念ながらアルトリコーダー用の版は伝わっていません。しかし、使われている音域をみると、最高音がかなり低めに押さえられており、3度ほど高く移調してアルトリコーダーに転用することをきっと視野に入れていたろうと推測できます。いずれにせよ、いつもアマチュア愛好家の必要に応えようとしていたテレマンならではのアイデアが形になった、すばらしい作品集です。


★解説★

 ハ短調の原曲をアルトリコーダーで演奏できるようにヘ短調に移調しました。

 フラウト・トラヴェルソ用の楽譜は通常3度高く移調しますが、この曲の場合は「高いファ#(高いソ♭)」の問題があってうまく行きません。しかし、このように4度高く移調するとほとんどが解消するうえ、第3楽章に1箇所だけ残る「高いソ♭」も膝で笛の先端をふせぐ奏法により演奏可能です。作曲者自身も、リコーダー用にはこの調へ移調する予定だったのではないかと推測します。

 第1楽章はアレグロ(快活に)と指定され、4分の3拍子です。「頭欠け」で始まり音階的下降を志向するヘ短調の第1の主題、上向の分散和音でつくられた第2の主題があり、この二つの間に置かれた経過句にも力があります。最後はフェルマータを絡めたパウゼを挟んでからしめくくります。ここは何か即興的フレーズを演奏することもできそうで、そちらが作曲者の意図だったのかも知れませんが、単なるパウゼのように扱ってもなかなか印象的です。

 第2楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子で、装飾範例が用意されているのはこの楽章です。どこか寂しげな足取りで進み、少し力を増して見得を切ったかと思うと、スイと美しい下行ゼンクエンツの音楽になります。やがてテーマが戻ってきますが、すぐに半音階的(途中に増2度を含む)に上がっていく印象的な句を挟んで、フリギア終止に導きます。

 第3楽章はアレグロ・アッサイ(極めて快活に)、4分の4拍子。「高いレ♭→ミ」という「減7度」の音程を含むテーマで始まります。リズミカルな句をいろいろ用いて快調に音楽が進みますが、7〜8小節では低音にテーマで出てくるのが注目されます。つまりリコーダー7〜8小節の特徴的な句はテーマに対する対旋律になれる性質があるのです。そこで、以後は、テーマがリコーダーに出るときは低音がこの対旋律を奏し、もちろん低音にテーマが出るときはリコーダーが再びこの対旋律を受け持ちます。

 第4楽章はオンデッジャンド、マ・ノン・アダージョ(揺れて、しかし遅くはなく)と指定され、2分の3拍子で、しなやかに、リズミカルに奏される魅惑的な音楽です。異例なほど細かく指定された強弱の対比もまた魅力の源泉になっています。

 第5楽章はアレグロ(快活に)、8分の6拍子で、ジークのように始まりますが、途中からはリズムの扱いがかなり込み入ってくるあたり、どうもジークではないように思われます。印象の強いモチーフをたくさん含んでいて非常に内容が濃く、演奏しがいのある終曲になっています。

※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章(C2)
第2楽章(B2)
第2楽章・テレマンによる装飾例(C1)
第3楽章(C3)
第4楽章(B2)
第5楽章(C1)
※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: 石田誠司  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


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