リコーダーJP テレマン作品


装飾範例つきソナタ 第9番


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★この曲を収録したCDつき楽譜★

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RB-038 リコーダー用  900円+税(絶版)



★解題★

 『装飾範例つきソナタ集』は、緩徐楽章について、作曲者自身が装飾のお手本を示して、アマチュアの学習の便に供しようというコンセプトのソナタ集です。第1番〜第6番が「ヴァイオリンまたは横吹きフルート用」(1728年)、第7番〜第12番が「横吹きフルートまたはヴァイオリン用」(1732年)として、いずれもハンブルグで出版されました。
 そういうわけで、残念ながらアルトリコーダー用の版は伝わっていません。しかし、使われている音域をみると、最高音がかなり低めに押さえられており、3度ほど高く移調してアルトリコーダーに転用することをきっと視野に入れていたろうと推測できます。いずれにせよ、いつもアマチュア愛好家の必要に応えようとしていたテレマンならではのアイデアが形になった、すばらしい作品集です。


★解説★

 ホ長調の原曲をアルトリコーダーで演奏できるようにト長調に移調しました。たぶんこれがテレマンも想定していた処理だと思います。

 第1楽章はアンダンテ(歩くように)と指定され、4分の4拍子です。バロックのアンダンテはかなり速いテンポで演奏されることが多いのですが、この曲の場合はかなり遅いテンポが合うでしょう。しかし、前に着実に進んでいく気持ちは強く、その点でいかにもアンダンテです。もともとかなり細かな音符も書き込まれていてリズミカルな魅力にも富む曲ですが、装飾範例では、さらに華麗な縁取りをほどこしています。

 第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の3拍子です。同音連打や下降音階、前打音で勢いをつけたような分散和音など、多彩な要素を含む活発な主題を軸に、いくつかの副主題部分がはさまれていく、ロンドのような形でつくられています。テレマンならではの、次から次へと魅力的なモチーフを惜しみなく繰り出して息つく間も与えない快作です。

 第3楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子の、短い間奏曲です。何調で始まったのかもあいまいな開始から、いくつもの調の間をすべり動き、最後はロ短調(原曲では嬰ト短調)の終止カデンツに落ち着きます。

 第4楽章は4分の4拍子、グラティオーゾ・エ・センプリチェメンテ(優雅に、しかし素朴に)と指定されています。比較的狭い音域のなかで語りかけるように歌われる魅惑的な音楽で、前後半ともに繰り返しの指定がありますから、2度目はいろいろと変化を加えて演奏するのも良いでしょう。

 ※ 原典に gratioso とあります。ふつうはgraziosoと綴られるのですが。

 第5楽章はプレスト(速く)、4分の4拍子ですが、速いので2分の2拍子のように感じられます。前半・後半ともに繰り返しが指定された大規模な終曲で、調子よく始まる主題を軸に、いくつかの印象的なモチーフを繰り出して万華鏡のように音楽を繰り広げていきます。終わり近くで、オルゲルプンクト(低音の保続音)に乗って弱音(ピアノ)でやわらかに歌う場面はハッとするほどの新鮮さで、後世の音楽にもさぞ大きく影響したことだろうと思わされます。


※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章(B3)
第1楽章・テレマンによる装飾例(C1)
第2楽章(C2)
第3楽章(B1)
第4楽章(B2)
第5楽章(C2)
※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: 石田誠司  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


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