------------------------------------------------------------------------  リコーダーJP メールマガジン                       091号 2015.5.22. ------------------------------------------------------------------------ ★ごあいさつ★  こんにちは。  大阪は短い春を経て、もう夏かという感じです。  いつもご愛読ありがとうございます。RJPメールマガジン、第91号をお届けい たします。6月の演奏会情報ほか。 RJP刊行物総合カタログ http://www.recorder.jp/rjpcatalogue.pdf ■目次■  <ごあいさつ>  1 奥田直美リコーダーリサイタル (6/19 東京 6/20 大阪)  2 ライブラリコンサート 水越美鈴さん(5/29 大阪)  3 2015年6月の新刊  4 編集後記 …………………………………………………………………………………………… ★1 奥田直美リコーダーリサイタル (6/19 東京 6/20 大阪) ……………………………………………………………………………………………  イギリス在住のリコーダー奏者・奥田直美さんのリサイタルです。ヘンデル、 テレマン、バッハ、マンチーニなど大家の傑作揃いのプログラム。東京公演と 大阪公演があります。 http://www.recorder.jp/events/150619.htm ……………………………………………………………………………………………… ★2 初夏を彩るバロック音楽 水越美鈴さん(6/27 兵庫) ………………………………………………………………………………………………  リコーダーの水越美鈴さんのコンサート。マンチーニ、テレマンの作品ほか。 http://www.recorder.jp/events/150627.htm ……………………………………………………………………………………………… ★3 2015年6月の新刊 ………………………………………………………………………………………………  6月は3タイトル(+2)がリリースになります。 ■ボノンチーニ 室内嬉遊曲 第7番  イギリスに招かれてヘンデルのライバルと目された大家・ボノンチーニの傑作 「室内嬉遊曲集」より、第7番・ホ短調です。やや小粒ですが立派な存在感のあ る力のこもった作品です。 http://www.recorder.jp/piece/2/2168.htm ■リコーダー四重奏のためのフーガの技法 第11番  バッハの名作「フーガの技法」より、Cotrapunctus 11 のリコーダー四重奏 編曲です。付属CDではPapalinこと武藤哲也さんによるすばらしい演奏例・ マイナスワン演奏をお楽しみいただけます。 http://www.recorder.jp/piece/3/3049.htm ■ウィンター・クォーターズ  アメリカはワシントン州在住のリコーダー愛好家、ダニエル・ヘイさんの リコーダー三重奏曲(ATB)です。現代作品ですが、わかりやすいスタイルで書か れており、演奏も難しくありません。 http://www.recorder.jp/sheet/f018.htm ……………………………………………………………………………………………… ★4 編集後記 ………………………………………………………………………………………………  現役第一線の比較的若いリコーダー奏者たちは、4〜6月ごろ、小学校での 「導入指導」のお仕事で飛び回っているかたが多いのです。おかげで、いい季節 であるわりに演奏会が少ない。  これはアウロス系「東京リコーダー協会」さんが組織している小学生の子供 たちのための特別授業です。つまりは、ぶっちゃけ、他の楽器や他のメーカーの リコーダーを採用せず、アウロスのリコーダーを採用した学校に対して約束され ている、アウロスさんのサービスですね。  はっきり言えば、これを行なう約束をするのが、アウロス・リコーダーの強力 な営業手段のひとつなのでしょう。  リコーダーの歴史は、学校教育との関係抜きには語れません。20世紀に学校教 育で採用されたために、樹脂製リコーダーの研究開発がめざましく進みました。 このことは、現代のリコーダー・シーンの背景として、やはり最も大きな要素 のひとつです。  考えてみれば、学校の吹奏楽団をおもな市場として、クラリネットにもABS樹脂 製が作られましたし、フルートにも白銅製などの普及モデルがあります。しかし 何と言ってもあれだけたくさんの金属部品(キーやパッド)をとりつけなければ ならない楽器にあっては、それほど劇的なコストダウンはできませんでした。  しかし、ソプラノやアルトのリコーダーにはキーが必要ありません。だから圧倒 的な低価格製品が生産可能だったわけですね。  でも、学校でのリコーダー教育は、なかなかリコーダー愛好家人口の増加に結 びついていないように私には思われてなりません。それどころか、日本(やドイツ) では、リコーダーを「教育用アイテム」としか見ないような風潮を生み、このす ばらしい楽器が不当に軽蔑される世の中をつくってしまいました。  リコーダーは、たしかに教育楽器にふさわしい特性もたくさん持っています。 小型で軽く、発音が容易、指づかいが合理的で覚えやすいなど。それらは、本来 リコーダーの長所です。しかし、学校教育というマスプロ式の知識・技能注入工 場のような場で扱われると、本当の良さを子供たちに実感してもらうのが難しい のだと思います。  たとえば、本当に美しく作曲ないし編曲された、アルト用の二重奏・三重奏な どを用いて、小グループがじっくりと美しい音楽をつくりあげていくような学び かたができれば、きっと、学校教育の直接の結果としてのリコーダー愛好家が、 もっとたくさん生まれてくると思うのですが。  私の勝手な願いを言えば、「小学生にソプラノリコーダーを教えるのは、もう やめてもらいたい」と、かねがね思っています。むしろ中学校か、いっそ高校で、 アルトリコーダーを教えるのを最初にしてもらいたいのです。アルトこそがリコ ーダーの王者なのですから。  そして、いま小学校めぐりで飛び回っている奏者さんたちには、中学校や高校 に、アルトリコーダーの導入指導に行ってもらいたい。半分は音楽の先生に対す るデモンストレーションを兼ねて。  そうすれば、最も得意とする本格レパートリーを紹介しながら、リコーダーが どんなにすばらしい楽器であるかを、もっとストレートに、よく伝わる形で語れ ることでしょう。  小学校でソプラノリコーダーが「必修」と定められている、という現実を前提 として考えれば、東京リコーダー協会さんが行なう小学教諭向けの研修会だの講 習会だのも、そしてくだんの「導入指導」にも、一定の公的意義があったでしょ う。どうしても小学生にソプラノリコーダーを教えなければならない(それが法 的拘束力のある学習指導要領で定められている)のなら、少しでもマシな教えか たをしていただけるように、と私だって願います。  しかし、いまは「必修ではない」のです。こうなると、東京リコーダー協会さ んの活動は、一転、「小学校音楽科でのリコーダー採用を促し、アウロスさんが 生き残れるようにすること」を目的とする活動、という性質を強く帯びざるを得 ないのではないでしょうか。  アウロスさんをはじめとする樹脂性リコーダーメーカーが、学校を市場とする ことによって、安価で良質なリコーダーを開発してくれた功績は大きかったと思 います。それは「歴史的な業績」として認められるでしょう。しかし、「これか らも小学校でソプラノリコーダーを教えさせる」ことをめざして活動するのなら、 私は協力したくありません。  中学生や高校生に、生涯の友とできる、本格的な独奏楽器・室内楽の楽器とし てのアルトリコーダーを教えること。それをめざそうというのなら、協力を惜し まないつもりなのですが……どうも、無理のようですねぇ。 (RJPディレクター 石田誠司) -----------------------------------------------------------------  リコーダーJP メールマガジン                         091号 2015.05.22. ----------------------------------------------------------------- 編集・発行 リコーダーJP http://www.recorder.jp info@recorder.jp ※このメールマガジンは、お申し込みにより配信しています。もしも間 違いやいたずらの登録により配信がなされている場合や、購読を停止 される場合は、リコーダーJPダイレクトの皆様ならば、お手数ですが、  上記 info@recorder.jp まで「メールマガジン不要」などの題でメー  ルでお知らせください。「まぐまぐ」からお申し込みいただいた皆様  は、  http://www.recorder.jp/magazine_mag2.htm  から配信停止のお手続きをお願いいたします。 ※リコーダーJPからの配信は「B.C.C.配信」です。