リコーダーJP W. A. モーツァルト作品


W. A. モーツァルト
ソナタ ヘ長調 KV376


★この曲を収録したCDつき楽譜★

SV005 ヴァイオリン用 2800円+税
SV025 ヴァイオリン用 3800円+税
SF011 フルート用 2800円+税
SF032 フルート用 3800円+税


★解題★

 原曲はヴァイオリンソナタですが、フルートへの編曲譜がいくつもの出版社から出版されており、フルートでもたいへん美しく演奏できます。

 モーツァルトのヴァイオリンソナタは、この不世出の天才が、その輝かしい才能を最も存分に発揮したジャンルのひとつであり、この点でオペラやピアノコンチェルトと肩を並べると言っても過言ではありません。モーツァルトはウィーンきってのピアニストとして活躍しましたが、彼のひらく演奏会はピアノソロだけで構成されていたのではなく、むしろコンチェルトや歌を含むアンサンブル曲がたくさんプログラムに載っていました。幼少のころから家族(ヴァイオリニストであった父、ピアノが上手だった姉)や(父の)友人たちとアンサンブルを楽しみながら成長したモーツァルトは、「ピアノと他の楽器のアンサンブル」の曲を書くのがいちばん楽しかったのかも知れません。

 そう言うと「でもヴァイオリンソナタではモーツァルトが弾くピアノは伴奏なのでは?」とお感じのかたもいらっしゃるかも知れませんが、実はモーツァルトの「ヴァイオリンソナタ」は、「ヴァイオリンの伴奏をもつクラヴィーアソナタ」と題されていたぐらいで、ピアノはけっして単なる伴奏ではなく、ヴァイオリンと協力して音楽をつくる二人の主役のうちの1人でした。そして、ピアノとヴァイオリンのためのソナタというジャンルにおいて、これらのモーツァルトのソナタこそがその理想の姿を示していると考えられています。

 K.V.376のソナタは、1781年にウィーンで出版された6曲セットのうちの1曲で、ウィーンで自立した音楽家としての成功を目指した青年モーツァルトの希望に満ちあふれた心が乗り移ったような作品です。

★解説★

  3つの楽章から成っています。

 第1楽章はアレグロ、4分の4拍子。力強いアコードを序奏として始まる音楽は、いちおう二つの主要主題を持つ「ソナタ形式」なのだろうと思われますが、モーツァルトの「ソナタ形式」楽曲によくあるように、主要なテーマ以外にもいくつも魅惑的なモチーフが盛り込まれていて、展開部でおもに扱われるのはそちらの方だったりします。

 第2楽章はアンダンテ、4分の3拍子。3部形式、あるいは自由な歌謡形式とみても良いと思います。まず変ロ長調の主要テーマが扱われ、途中はヘ長調でやや展開ふうの音楽となり、また最初の部分が戻ってきて短いコーダへと続きます。フルート(ヴァイオリン)もピアノもよく歌う魅惑的な楽章です。

 第3楽章はアレグレット・グラツィオーゾで2分の2拍子。くつろいだ気分の愛らしい主題が何度も回帰するロンドふうの形とみられます。副主題には軽妙なもの、力強いもの、親しみ深いものなどいくつもあって、たいへん内容豊かな曲です。


※ 演奏例がお聴きいただけます

■ヴァイオリンによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※ヴァイオリン演奏: 棚田めぐみ  ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司


■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※フルート演奏: 大塚ゆき  ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司



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