★ フーガの技法は、
J. S. バッハ晩年の傑作・・・という以上に、彼の最後の未完の大作です。ひとつの基本主題をもとに、いろいろな技法を駆使した多数のフーガを作って曲集にしました。
★ 「フーガの技法」には、楽器の指定がありません。弦楽四重奏で演奏したり弦楽合奏で演奏したり、またオルガンやチェンバロで弾いたり、いろんな演奏が行われている中、リコーダー重奏による演奏もよく行われます。
★ 「フーガの技法」の初版譜では第12番 (XII)として、Contrapunctus Inversus
XII と題された1対の作品が置かれています。Contrapunctus Inversus とは「転回対立」ぐらいの意味になりますが、その真意は、「転回対位法」によって、楽譜全体(スコア)を鏡に映したように上下反転させても演奏できるように作られた1対のフーガであるという点にあります。
★ ただ、初版では、奇妙なことに、先に「Inversus(転回形)」と題された曲が置かれ、続いて「Rectus(原形)」が置かれています。ここに取り上げたのは「原形」のほうで、これを弊社版では「フーガの技法 第12番」といたします。
★ せっかくのバッハの苦心の成果を理解するためには、バッハ全集版のようにこの2曲(原形、転回形)のスコアを上下に並べて印刷してある楽譜を見ると、たしかにまるで間に鏡を置いて映したかのように音符が上下逆になっている様子が一目でわかります。
※ 演奏例がお聴きいただけます
■リコーダー四重奏(SATB)による演奏(多重) ※リコーダー演奏: 武藤哲也(Papalin)