★ フーガの技法は、
J.S.バッハ晩年の傑作・・・という以上に、彼の最後の未完の大作です。ひとつの基本主題をもとに、いろいろな技法を駆使した多数のフーガを作って曲集にしました。
★ 「フーガの技法」には、楽器の指定がありません。弦楽四重奏で演奏したり弦楽合奏で演奏したり、またオルガンやチェンバロで弾いたり、いろんな演奏が行われている中、リコーダー重奏による演奏もよく行われます。
★ 主要主題に付点のリズムを取り入れたテーマがバスに開始されると、それに対していきなりストレッタ(主題が終わらないうちに応答する)でソプラノが答えます。このとき主題はリズムが半分に短縮されていて、しかも反行形になっています。そしてさらにアルトが応じますが、これも短縮形によるストレッタで、ただし今度は正置形です。最後に少し遅れた感じでテナーが応答しますが、これは短縮形の反行形・・・といった調子で、主題の反行と短縮を織り交ぜながらストレッタを多用し、緊迫感のある音楽です。ゼクエンツ(主題とは異なるモチーフを使う推移部のような箇所)で用いられる音型も、三十二分音符を駆使して厳しい表情をみせます。なお初版では
in Stylo Francese (フランスのスタイルで)と題されていますが、これは付点リズムを中心とする曲のスタイルにちなむもののようです。
※ 演奏例がお聴きいただけます
■リコーダー四重奏(SATGb)による演奏(多重) ※リコーダー演奏: 武藤哲也(Papalin)