★解題★
ガリアルドはリコーダーのための通奏低音伴奏ソナタを6曲セットで残してくれました。これは、かつてはシックハルトの作と間違われていたことがあるそうです。たしかに、素直で明るい作風と切れ味のいい運動性はシックハルトを思わせるものがあります。
技術的にとくべつ難しい箇所がないわりにはかっこよく聞こえるようにうまく作られているうえ、音楽的にも随所に気の利いた工夫がなされていて、アマチュアリコーダー愛好家に時空を超えて残された、すてきなプレゼントだと言えると思います。
★解説★
4楽章から成る比較的小規模で演奏しやすいソナタです。
第1楽章はウン・ポコ・アンダンテ(ややアンダンテ的に)で、4分の3拍子です。発想記号の意味するところは、たぶん、「基本的にはゆっくりなのだけれども、ひきずらずあっさり目に演奏してほしい」というのでしょう。緩・急・緩・急の「教会ソナタ」の冒頭楽章にはゆったり目の曲が多いので、こういう前に進む感じの曲はちょっと新鮮な感じがします。
第2楽章はスピリトーゾ(元気に)、4分の4拍子。短いモチーフを笛がひと声さえずると、低音がそれに答えて音楽が始まります。短い中で展開に工夫を凝らしてあり、1楽章とともに、あまり類例をみない独創性の感じられる楽章です。
第3楽章はサラバンドで、アダージョ(ゆっくりと)、4分の3拍子。付点のリズムを基本に進みます。細部にまで工夫が凝らされていて好感が持てます。
第4楽章はアレグロ(快活に)8分の6拍子のジークふうの終曲です。4つの楽章の中では最も類型的になったかも知れませんが、音階的な動きを中心として小ぢんまりとまとめられていて、音楽的な楽しさは十分に持っています。
※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章(B−2)
第2楽章(C−1)
第3楽章(B−2)
第4楽章(B−3)
※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:石田誠司 チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司