リコーダーJP ヘンデル作品


ソナタ ヘ長調 HWV369

全曲(ノーカット)が試聴できます
(YoutubeのRJP応援チャンネル「リコーダーの底力」)


★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★

1011 リコーダー用 1800円+税
SR-002 リコーダー用  3800円+税
CA-103 リコーダー用 2800円+税
ダウンロード製品 1860円(税込)


RB-011A リコーダー用  900円+税(絶版)



★解題★

 生前に作品1の「11のソナタ」に収録されました。そのときは第1楽章がラルゲット(ややひろびろと)になっていましたが、自筆譜ではグラーヴェ(荘重に)となっているそうです。美しい浄書譜があることから、王宮で(通奏低音のための)教材として使う目的で作曲されたのだろうとされ、1726年か27年ごろに書かれたのではないかといいます。

 10年足らずのちに、ヘンデルはこの曲をオルガンの協奏曲に書き換えました。このことからも、ヘンデル自身がたいへん気に入っていた作品であることは間違いないでしょう。

 アマチュアが、ヘンデルを演奏してみようと思うときにまずやってみるのも、この曲であることが多いようです。その理由は、第1楽章の、いかにもヘンデルらしい堂々たる風格のメロディーの美しさ、第2楽章の軽妙な味、第3楽章の短いけれども心に染みる絶妙なシチリアーノ、そして実にりっぱな歩みで進む第4楽章のジークまで、どの楽章もすばらしい出来であることがひとつでしょう。しかし同時に、ヘンデルのソナタの中でも技術的に比較的演奏しやすいことも見逃せません。ヘンデル入門・バロックソナタ入門に最適の1曲と言えるでしょう。



★解説★

 曲は4楽章から成り、それぞれ性格が違います。

 第1楽章グラーヴェ(荘重に)は4分の3拍子で、あまり細かい音符を含まない堂々たるメロディー。これはヘンデルの真骨頂のひとつで、ベートーヴェンはこういうヘンデルの旋律の簡素にして気品のある美しさに生涯あこがれていました。彼の「第九交響曲」のシンプルなメロディーは、彼なりの「ヘンデル的」な旋律だったのかも知れません。たしかにあれもすばらしいけれど、しかしヘンデルのこういう旋律をきくと、いやはやヘンデルとは何という天才か、これを真似るのはしょせん誰にも無理なことだ…と、ベートーヴェンに同情すらしたくなってしまいます。

 第2楽章アレグロは、一転してリズミカルに弾むような音楽です。この楽章だけは途中で出てくる16分音符の連続がかなり難しいのですが、ユーモラスな味もあって心も自然に弾んでくるようなこの楽しさは、何ものにもかえがたいほどで、練習のしがいもあるというものですね。石田の通奏低音演奏では、後半でワルノリし、一瞬ですがエイトビート的なリズムを入れてみたりしています。

 第3楽章はア・ラ・シチリアーナ(シチリアーノふうに)と指定された、8分の12拍子の美しいシチリアーノ。短い中に多彩な魅力が盛り込まれた傑作です。ひとつだけ言うなら、7〜8小節、リコーダーが長い音符を歌う下をチェンバロがテンションコードの「反復進行」で飾る個所の絶妙な美しさはどうでしょう。

 第4楽章はアレグロで、ジーク(6拍子・12拍子系の速い舞曲)なのでしょう。分散和音を中心とするテーマは平凡なようですが、やはり堂々としたおもむきがあってじつに立派。そして、バロック作家たちが星の数ほど書いたジークの中にあって、この曲はやはり展開のたくみさといい細部まで神経の行き届いた心憎い表現といい、そして惚れ惚れするような姿のよい構成の妙といい、やはり第1級の作曲家はこうも違うのかと思わされるような完璧な出来です。しかも演奏はやさしく、朝岡聡さんによると「ついテンポが速くなってしまう」というぐらいですから、ヘンデルってホントにすばらしいですね。


※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章 (B−1)
第2楽章 (C−1)
第3楽章 (B−2)
第4楽章 (C−1)

※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: 吉澤 実  電子チェンバロ演奏: 石田誠司


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