カンタータ 変ロ長調
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★この曲を収録したCDつき楽譜★
ダウンロード製品 1860円(税込)
★解題★
「カンタータ」と題されていますが、通奏低音伴奏のアルトリコーダーソナタです。ハラッハ・コレクションに含まれていた貴重な作品ですが、残念なことに用紙の上部が裁断されて一部の音符が欠落しており、不明な音は校訂者の推定により補う他はありません。この版でもひとつの提案を行っています。
★解説★
後期バロックというよりもう少し下った年代の作品のようで、リコーダーソナタとしてはかなり異色ですが、さすがに大家の作だけあって新鮮な魅力があふれる名品です。なお、第2楽章については、原譜(おそらく作曲者の自筆原稿)に残るいろいろな痕跡と内容からみて、いくつかの演奏の仕方が考えられます。この版では可能性のある4つの案を示し、伴奏音源もそのすべてに対して用意しました。
第1楽章は4分の4拍子で、発想指示がありませんが、快活に演奏されるはつらつとした音楽です。決然とした感じの力強い主題で始まり、間もなく属調(ヘ長調)に転じると、いくつかの副主題を繰り出しながら、はなやかに音楽を進めます。前半を繰り返したあと、後半は展開の部分になり、やがて、かなり自由な形ではありますが「再現」の部分を経て収束に向かいます。
第2楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の3拍子で、ト短調を基調としています。厳しい表情の主題で始まりますが、やがて長調に転じて奏される漂うようなエピソードが非常に魅惑的です。第1の部分を繰り返したあと、第2の部分は、ハ短調で再び厳しい表情で開始した後、ほぼ短調一色で進み、やがて主題を回顧してしめくくられます。第3の部分は、第1部分にあった魅惑的な長調のエピソードを陰鬱な短調で奏し、いったん楽章をしめくくる感じで終わります。
その後、複縦線で区切った狭いスペースに押し込むように2小節だけが書き加えられたようになっており、これは明らかに第3楽章への「ブリッジ」の役割を担うようになっています。
ただ、第4部分への続きぐあいにはいくらか違和感があり、むしろ第1部分の9小節目にちょうどうまく続くような内容になっているのです。
そこで、
(1)元々は第3部分で終わる曲だったのではないか(Ver.3)、
(2)のちに、一種の「改定」として「ブリッジ」を書き加えたとき、「ダカーポ」した後に9小節からここへ飛ぶつもりだったのではないか」(Ver. 1)、
(3)「ブリッジ」を書いたとき、第3部分は省いて第2部分のあとダカーポする構成を考えていたのではないか(Ver.
2)
などの可能性が浮かんできました。
しかし、原譜には現にダカーポもコーダマークも記されていませんから、素直に頭から順に演奏して、第3部分に続いてブリッジの2小節を奏するのが正しいという可能性も否定できません。(Ver.
4)
第3楽章は8分の3拍子で、アレグロ(快活に)と指定された活発な終曲です。音階的に下ってきたあと分散和音で上昇する、音域の広い主題で始まります。やがて属調に転じて新しい主題を示すあたりは、すっかり「ソナタ形式」の感じです。しかし、前半を繰り返して後半に展開の部分が置かれたあと、主題が再現されてからは自由なつくりになって、「第2主題」ははっきりとは再現されないままに華やかな収束に向かいます。
※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章(C−2)
第2楽章(B−3)
第3楽章(C−2)
※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:石田誠司チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
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