★解題★
J.B.ルイエ(1688?〜1720頃?)の「リコーダーと通奏低音のための12のソナタ 作品3」は、1700年代の早いころ、作品1・作品2につづきアムステルダムで出版されました。作品1から数年の歳月を経て、親しみやすく清新な作風にはいっそうの磨きがかかっています。
※どうも作品の出版年についていろんな文献の説がばらばらなのでこのような申し上げ方をすることにします。なお,ルイエは1688年に洗礼を受けた記録があるそうですが、これが生年だとすると、そして作品1の出版年を1705年とする説が正しいとすると、作品1は弱冠17歳での出版ということになります。
★解説★
4つの楽章から成り、緩・急・緩・急の構成です。比較的やさしく演奏できますが、意外性があって凡庸に陥っていません。ルイエらしい佳品と言えるでしょう。
第1楽章はラルゴ(はば広く)、4分の4拍子。多彩なリズム型がきかれ、また開始間もなくにはフェルマータで音楽が一段落する箇所があるなど、丁寧に工夫を凝らした作りの曲です。
第2楽章はアレグロ(快活に)、2分の2拍子。リコーダーが提示するテーマを扱うフーガふうの音楽になっています。音価がどこかトリッキーな感じで2倍に長く(あるいは短く)読み違えやすいため、注意が必要ですが、じつに面白く書かれています。
第3楽章はアダージョ(ゆっくりと)と指定された2分の3拍子の長い楽章です。音符はほぼ4分音符までしか出てきません。ルイエが得意とした、きよらかな美しさの音楽。
第4楽章は再びアレグロと指定されたジークで、8分の12拍子です。フレーズの終了音が次のフレーズの開始音にもなるという手法が効果的に用いられていて、切迫感のあるすぐれた終曲になっています。ただ、とくに後半はブレスに余裕がないので注意が必要です。
※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章(B−2)
第2楽章(B−3)
第3楽章(B−1)
第4楽章(B−3)
※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:石田誠司 チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司