ソナタ 第5番 ト短調
Youtube のRJP応援チャンネル「リコーダーの底力」より
全曲の演奏(ノーカット)の試聴ができます。
★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
アルトリコーダー用: 2264 1800円+税
アルトリコーダー用 SR-145 3800円+税
ダウンロード製品 1860円(税込)
★解題★
フランス国立図書館(BnF)に、「ペジブル氏のソロ」と題された写本があり、そこにJ.ペジブルの通奏低音つきソナタ16曲(ほかに無伴奏二重奏曲など)が収められています。他にもペジブルのソナタの手書き譜はいくつかみつかっていますが、今のところBnFの写本の所収曲と重複する曲ばかりのようです。そこで、BnF写本で付されている通し番号を「ペジブルのソナタの番号」として用いることにしました。
本作の場合、参照できた3種類の写本のうち、Babel写本においては第3楽章がまるまる欠落しており、また最後の楽章の31小節以下が欠けています。その他にも3写本で異同箇所が多く、校訂上の難問が多数ある曲ですが、目立つ違いのひとつは発想記号です。つぎに表にめとめておきます。
第1楽章 |
第2楽章 |
第3楽章 |
第4楽章 |
BnF |
記載なし |
BnF |
記載なし |
BnF |
Adagio |
BnF |
記載なし |
デトロイト |
Grave |
デトロイト |
Largo |
デトロイト |
Adagio |
デトロイト |
Presto |
Babel |
Adagio |
Babel |
Grave |
|
|
Babel |
Vivace |
ここで特に問題なのは第2楽章でしょう。記載のある2写本は、Largo(広々と)、Grave(重々しく)です。しかし、どう見ても私は活発な感じの音楽だと思いますので、いわばVivaceかAllegroぐらいが書かれているような感じで演奏してみています。
なお、原典がどうなっているかを書き込んだ校訂用のメモがありますので、ご覧になりたいかたはどうぞ。(ただ、書き誤り等はあるかも知れません m(__)m)
★解説★
第1楽章は4分の4拍子で、なにか指定するとすれば Grave(重々しく)がピッタリではないかと思います。四分音符の重い足取りのテーマをリコーダーが奏するのに、2拍遅れで低音がついて来る開始から、しだいにリズム的変化も少しみせるようになり、やがていくらか多彩な動きかたをするようになります。なお、最後の終わり方は3つの写本間にかなりの異同があります。(弊社版ではデトロイト写本の記載を採りました。)
第2楽章は4分の3拍子で、前述のように、Vivaceぐらいの指定がふさわしいように感じられます。2拍目にアクセントがある感じがひとつの特徴で、形にとらわれない自由な音楽をくりひろげて、最後はニ短調で終わります(開始はト短調)。
第3楽章は4分の4拍子で、唯一、2写本が一致してAdagio(ゆっくりと)と指定している楽章です(1写本では曲そのものが欠落)。変ロ長調で始まって、いくつかの調を通りながら最後はト短調に入って、フリギア終止で第4楽章を呼びます。
第4楽章は、2分の3拍子で、ペジブルらしい堂々とした歩みの終曲です。ひとしきりの音楽が終わった感じのところでBabel写本では終わりになっていますが、他の2写本ではまだ続きがあり、むしろここからが腕の見せ所になります。ただ、32分音符が並ぶ音階パッセージは、インテンポで演奏するには無茶すぎますので、1小節のあいだテンポをうんと落とす演奏の仕方にしてみてあります。それでも難しいという場合は、もっと簡単な音に変更して演奏するとよいでしょう。いくつかの例を示してみましたので、必要ならば参考にしてください。
★試聴ファイル★
リコーダー: 石田誠司 (全音G-1A使用)
通奏低音(電子楽器): 石田誠司
※カッコ内の表示は「指回り難度」です。
第1楽章(B−1)
第2楽章(B−3)
第3楽章(B−1)
第4楽章(C−2)
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