リコーダーJP G. サンマルティーニ


ソナタ 変ロ長調
シブレー写本 第21番


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★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
ダウンロード製品 620円(税込)



★解題★

 サンマルティーニの通奏低音つきソロソナタばかり27曲を集めた、「シブレー写本(Sibley Manuscript)」と呼ばれる筆写譜があります(ロチェスター大学所蔵)。このうち15曲がリコーダー用のソナタで、最大の数を占めています。(ほかはオーボエ用、ヴァイオリン用、横吹きフルート用など。)

 サンマルティーニのリコーダー用ソナタの出版作品はあまりたくさん残っていませんので、これが貴重なソースになっています。


★解説★

 3つの楽章から成っています。まだ市販されている録音はそれほど多くありませんが、このシリーズのソナタの中でも演奏される機会の多い名作です。


 第1楽章は発想表示がなく、4分の4拍子です。かなり細かい音符や、短い音に対するトリルの指定も多いので、テンポはかなり遅めながら、着実に進んでいく「快速楽章」です。ケレン味のない堂々としたテーマで始まり、わくわくするような推移部で属調に進むと、軽い感じの第2主題を示して前半をしめくくります。繰り返しのあと、後半はもう1度テーマ(ただしヘ長調で)から始まって、いくらか短調に傾きがちな展開部分に入ります。そして、第1主題は明らかには再現されませんが、雰囲気的には「ちょっと戻ってきた感じ」になり、第2主題はそれよりはいくぶんわかりやすい形で再現されます。最後は力強い盛り上がりのある収束部。

 第2楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子で、ト短調を基調としています。悲痛な感じのテーマが、フェルマータをともなう半終止で一度口をつぐみます。このテーマには、タイで結ばれた長めの音に強い表現力があります。続いて、主題をヘ長調に移して始まるフレーズで少し納得したように終止しますが、またニ短調で主題(いくらか最初のときと音程関係が違いますが)に戻り、半音階的に下がってみたり上がってみたりしながらやや早口に語り進めたかと思うと、いきなり付点の跳ねるリズムの音楽になり、さらに速い三連リズムへと目まぐるしく口調を変え、最後はあっさりと着地を決めます。この、いささか「気まぐれな感じ」がこの楽章の特異な味でしょう。

 第3楽章はアレグロ(快活に)、8分の12拍子です。ジーグというより、堂々とした歩みの行進曲ふうの音楽なのかも知れません。輝かしい分散和音をふくむテーマで始まって、力強く音楽が進みますが、和声の移り行きや陰影にも微妙なものがあるので、あまり速いテンポで疾走してしまっては、せっかくの曲の良さが生きないでしょう。音楽のつくりとしては、「前半は主調の第1テーマ部と属調の第2テーマ部から成る」「後半は第1テーマを属調で奏して始まり、展開部になる」「第1テーマははっきりとは再現されない」「第2テーマはかなりはっきり と再現される」というあたり、第1楽章とも共通する形になっているようです。なにしろすばらしい名品中の名品だと思います。



※演奏例がお聴きいただけます

第1楽章(C−2)
第2楽章(B−2)
第3楽章(C−2)

※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏:
石田誠司  チェンバロ演奏: 石田誠司 (使用楽器はRJP所有のデジタルサンプリング音源)


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