リコーダーJP テレマン作品


装飾範例つきソナタ 第12番


★この曲を収録したCDつき楽譜★

RB-041 リコーダー用  900円+税(絶版)
1041 リコーダー用  1500円+税
SR-099 リコーダー用 3800円+税


★解題★

 『装飾範例つきソナタ集』は、緩徐楽章について、作曲者自身が装飾のお手本を示して、アマチュアの学習の便に供しようというコンセプトのソナタ集です。第1番〜第6番が「ヴァイオリンまたは横吹きフルート用」(1728年)、第7番〜第12番が「横吹きフルートまたはヴァイオリン用」(1732年)として、いずれもハンブルグで出版されました。
 そういうわけで、残念ながらアルトリコーダー用の版は伝わっていません。しかし、使われている音域をみると、最高音がかなり低めに押さえられており、3度ほど高く移調してアルトリコーダーに転用することをきっと視野に入れていたろうと推測できます。いずれにせよ、いつもアマチュア愛好家の必要に応えようとしていたテレマンならではのアイデアが形になった、すばらしい作品集です。


★解説★

 第1楽章はアンダンテ(歩くように)、4分の4拍子で、この楽章にテレマンによる「装飾範例」が付記されています。速いテンポではありませんが、わりにさっさか進む感じの音楽です。最後に印象的なフェルマータを挟んで収束します。装飾のほうは、旋律を多彩なリズム分割によって細かく縁取っていくおもむきものものです。

 第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の3拍子です。シンコペーションを利かせて弾むような運動性を持つテーマに始まり、かろやかな分散和音のゼクエンツ、そして大きな跳躍により2声で描く副主題が導入され、くるくると旋回する16分音符のモチーフを活用して前半をしめくくります。後半部は展開の音楽のように始まり、副主題が戻ってくることにより「再現」の雰囲気の音楽になり、収束に向かいます。

 第3楽章はプレスト(速く)、4分の4拍子の長大な楽章です。ところどころに通奏低音による短い間奏をはさみながら進むのがひとつの特徴だと言えるでしょう。全体はかなり自由で独創的な形式ですが、軽妙な主要テーマにつづいて、力強い副主題や、哀愁を帯びた魅惑的な副主題などをつぎつぎと繰り出して音楽を進め、いったん通奏低音の後奏により完全終止してひとくぎりをつけ、テーマをハ短調で演奏することから始まる中間部に進みます。中間部の終わりにはタスト・ソロ(通奏低音が低音の保続音となって和音の演奏をやめる)に乗って、華やかに、また自由に奏する感じの句が挟まれたあと、アダージョ(遅く)になって、ト短調(原曲ではホ短調)で完全に終止してから、曲の頭に戻るという、すこし珍しい指定になっています。

 第4楽章はドルチェ(甘美に)、4分の6拍子で、ハ短調(原曲ではイ短調)で始まります。ゆったりした旋律と細かい装飾的な動きの対照。ハ長調の可憐な中間部をはさんで、また最初の音楽が戻ります。

 第5楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、8分の6拍子で、前半・後半をそれぞれ繰り返す形式です。2楽章と同様にシンコペーションに特徴のあるリズム感で始まる、まさに vivace な音楽ですが、前半・後半ともに収束近くで出てくる、低音保続音に乗ったただようようなモチーフが、じつに新鮮な魅力で輝いています。


※ 演奏例がお聴きいただけます

■リコーダーによる演奏
第1楽章(B2)
第1楽章・テレマンによる装飾例(C2)
第2楽章(C2)
第3楽章(C2)
第4楽章(C1)
第5楽章(C2)
※カッコ内の表記は指回り難度です
※リコーダー演奏: 石田誠司  チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司


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