■6つのデュオソナタ■
テレマンは2本の旋律楽器のためのソナタを何セットか書きました。この「6つのソナタ」は、1727年にハンブルグで出版されました。フルートまたはヴァイオリンで演奏する場合の音部記号(ふつうのト音記号)と、リコーダーで演奏する場合の音部記号(フレンチクレフ)を併記した楽譜で印刷されており、これはシックハルトも作品30の「24のソナタ」で用いた方法です。全集番号ではTWV40:101〜106の番号がついています。
2本の旋律楽器が織りなす音楽としてまさに極上のもので、リコーダー奏者にもフルート奏者にもたいへん愛されてきました。
■第4番について■
全集ではTWV40:104となっている曲です(ベーレンライタ―版が102としているのは誤りのようです)。緩・急・緩・急の、いわゆる「教会ソナタ」のスタイルで書かれています。ト短調という調性ですから「ミのフラット」がよく出てくる関係で、速い楽章(2楽章・4楽章)はかなり難しいところがありますが、2本の線の協力のしかたは絶妙で、すぐれた作品です。
第1楽章はラルゴ(広々と)、2分の3拍子です。大きな跳躍進行で始まる主要主題が特徴的な対旋律をともなって何度か現れますが、その間には性格のことなるいくつかの副主題があらわれ、思索的な感じで曲が進みます。
第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の4拍子で、力強い主題で始まります。第1リコーダーと第2リコーダーが適宜役割を入れ替わりながら音楽が進み、やはり主題の間にいくつかの副主題を挟む形でつくられています。
第3楽章はアフェトゥオーゾ(愛情深く)、4分の2拍子です。なだらかな歩みの対旋律に乗って伸びやかなテーマがまず第2リコーダーにあらわれて始まります。陰影に富み、主題の展開も十分に行われた佳品といえるでしょう。
第4楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、4分の2拍子です。第2楽章の主題から抽出された、緊迫感のある主題で始まります。異なるリズム型を奏する2本のリコーダーが合わさって躍動的な音楽を形づくるさまは実に見みごごとと言うしかありません。ようやく少し同じリズム型で声を合わせるのは前半の終わりと曲全体の終わりの部分です。
※ 演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
※リコーダー演奏:Duo Affetuoso