ソナタ 第3番 ニ短調
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★解題★
フランチェスコ・マリア・ヴェラチーニ(1690〜1768)の「リコーダーまたはヴァイオリンのための12のソナタ」は、1716年に、ザクセン選帝侯王太子フリードリヒ・アウグストスに献呈されました。
ごく若いころにヴェネチアでフリードリヒ・アウグストスにまみえたことのあったヴェラチーニは、このソナタを献呈して自分の力をアピールし、ザクセンの宮廷に抱えてもらうことに成功しました。いわば作曲家・ヴェラチーニがこのあと国際的にヨーロッパをまたにかけて大活躍する端緒を切りひらいた出世作であるといえます。
12曲のソナタにはそれぞれ「1番ソナタ」「2番ソナタ」・・・と名前がつけられています。音楽を愛し多数の歌手や管弦楽の奏者をかかえていたザクセン侯に力を見せるために用意したものとあって、若きヴェラチーニの圧倒的な才能をうかがわせる力のこもった作品がずらりと並んでいます。
★解説★
4つの楽章から成り、緩・急・緩・急の構成です。叙情的な第1楽章、かるく踊るワルツのような第2楽章、おだやかに歩む第3楽章、そして迫力満点の力強い展開をみせる第4楽章から成っています。全体に豪放・奔放で、ヴェラチーニの絢爛豪華な才能が遺憾なく発揮された名作。
第1楽章はラルゴ(はば広く)4分の4拍子で、軽く付点のリズムを交えて音楽が進みます。せつせつと訴えかける叙情がすばらしい。
第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の3拍子。思わず踊り出したくなるような軽妙なワルツふうの音楽。曲の規模が大きく、ヴェラチーニの気宇の壮大さがうかがえます。
第3楽章は再びラルゴ、4分の4拍子。こんどは長調に明るみ、慰撫するようなやさしさがあります。若いころのいくつかのエピソードから「尊大」な人物としても知られるヴェラチーニですが、こんな心やさしい青年でもあったのですね。
第4楽章はアレグロで2分の2拍子。おそらく極めて快速に演奏されるべき曲で、演奏例にも用いられた「標準」のテンポは、まだ少し余裕をみたもののつもりです。骨太なテーマは実に力強く、終結に向かっての音楽の展開は豪快・豪放と言うしかない痛快さ。規模も大きくて、作曲者の器の大きさをそのまま体現したようなすばらしい作品です。
※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏
第1楽章(B−2)
第2楽章(C−1)
第3楽章(B−2)
第4楽章(C−1)
※カッコ内は指回り難度です。
※リコーダー演奏: こたけっちさん チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
■ヴァイオリンによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
※ヴァイオリン演奏:棚田めぐみ チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
※フルート演奏:大塚由貴 チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
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