リポート
ドレミ出版さん・ヤマハミュージックメディアさんの
伴奏CDつき曲集について

RJPディレクター・石田誠司

(2006.06.05)


 
 このたび、他社さんの製品をいろいろまとめてじっくり拝見することができましたので、リポートいたします。(サポーター・Fさんにたくさん貸していただきました。Fさん、ありがとうございました。)

 今回拝見できたのは次のとおりです。(各出版社における出版年月日順。リンク先は、検索にかかってきたいろいろな販売店さんの製品紹介ページです。)

■ドレミ出版さん■

(1)ソプラノ・リコーダーでジャパニーズ・ポップス 2002年8月 1800円+税

(2)アルト・リコーダーでジャパニーズ・ポップス 2002年10月 本体1800円+税

(3)アルト・リコーダーで宮崎駿アニメ・ベスト 2003年4月 1800円+税

(4)午後のソプラノ・リコーダー/バラード・ニュー・スタンダード 2003年12月 1800円+税

(5)ソプラノ・リコーダー/クラシック・コンサート<パート譜つき> 2004年2月 2500円+税

(6)アルト・リコーダー/クラシック・コンサート<パート譜つき> 2004年3月 2500円+税

(7)ソプラノ・リコーダーで「Jupiter(ジュピター)」 2004年7月 1800円+税

(8)ソプラノ・リコーダーで贈る/誕生日のラヴ・ソング集 2004年10月 2000円+税

(9)ソプラノ・リコーダーでLOST LOVE/思い出のバラード 2005年1月 1800円+税

(10)ソプラノ・リコーダーで宮崎駿アニメ・ベスト<改訂版> 2005年6月 1800円+税

(11)おしゃれなソプラノ・リコーダー/ふるさとの調べ<パート譜つき> 2005年11月 2500円+税


■ヤマハミュージックメディアさん

(12)たのしく吹けるリコーダー・ソロ スタジオジブリ作品集 改訂版 2004年2月 2600円+税

(13)リコーダー 日本の歌 2005年10月 2000円+税

(14)モーツァルトゆらぎの音楽 2006年5月 2200円+税


以上の14点です。


★概要★

■楽譜の付属状況
 ドレミ出版(以下「ドレミ」)さんの(5)(6)(11)の製品には鍵盤伴奏用(つまりは大譜表による)スコアがついていますが、他はすべてパート譜のみ。ヤマハミュージックメディア(以下「ヤマハ」)さんの製品はすべてパート譜のみです。

■「やさしい楽譜」の工夫
 (5)(6)(11)以外のドレミ出版製品では、メロディーの細かな音符を省略して少しやさしくした楽譜がいっしょについていて、そちらの「やさしい方」の楽譜にはドレミで階名をふるという、よく考えられた工夫が行なわれています。

■ドレミさんの製品
 ドレミさんの製品の伴奏CDは、ほぼ全てが「通信カラオケ」のような、電子楽器によるオーケストラふう演奏です。演奏の質・サウンドの質的にも「通信カラオケ」を思い浮かべていただいたらいいと思います。

■ヤマハさんの製品
 対してヤマハさんの製品では、(12)の「ジブリ」はドレミさんと同様の通信カラオケふうですが、サウンドの質はドレミさんの製品より一枚上手であるように思われました。また(13)の製品「日本の歌」では伴奏が生ピアノ、(14)「モーツァルトゆらぎの音楽」ではサンプリング音源(多分)によるチェンバロ伴奏です。(14)のチェンバロ伴奏もなかなか良い演奏ですが、とくに(13)「日本の歌」のピアノ伴奏は非常にすばらしいと思いました。

■模範演奏
 (13)には、林弘子さんというフルート・オカリナ・リコーダーの先生による模範演奏が入っています。この点、ドレミさんの製品では、「模範演奏」が入っていると称する製品(11)においても、それは実は電子楽器によるガイドメロディーが少し大きめに入っているだけでした。

■ガイドメロディーなど
 ほとんどの製品は、マイナスワンにおけるガイドメロディーか、または「模範演奏」によって演奏すべきメロディーをきくことができますが、唯一これができない(つまりガイドメロディーのない伴奏のみの収録)のは(14)「モーツァルトゆらぎの音楽」です。

■美しい装丁・多い収録曲数
 最後に・・・どの製品もRJP製品とは装丁といい収録曲数の多さといい「雲泥の差」で、このあたりはRJPはまだまだ力不足、比較にならないなぁと思いました。


★石田の感想★

 ドレミさんの提案は「カラオケを利用して、小学校で習ったソプラノリコーダーを吹いていろいろ遊んでみませんか」というものに見えます。一部にアルト用もありますが、どちらかといえばソプラノが提案の中心になっているのは、オーケストラふう伴奏(や一部にピアノ伴奏)が提案の中心であればうなずけることで、アルトではいまひとつ映えにくいでしょう。

 両社のオーケストラふう伴奏について石田の個人的な感想をお許しいただけるなら、ヤマハさんの「ジブリ」は美しいと思いますが、ドレミさんの伴奏はちょっと「電子楽器臭い」、とくにストリングスの音が固いのが残念な感じがします。でも、うるさいことを言わなければ、好きな歌をソプラノリコーダーで気楽に吹く、という遊びかたで、十分に楽しめるのではないかと思います。

 しかし、石田は「チェンバロ伴奏」「ピアノ伴奏」を採用したヤマハさんの提案をヨリ高く買います。

 この「チェンバロ伴奏のモーツァルト」については、だいたい同じ内容による「クラリネット用」「ヴァイオリン用」などもあるようなのですが、このシリーズの発想の中心は「リコーダー」にあったのではないか・・・と石田はちょっと希望的に受けとめています。なぜなら、クラリネットやモダンヴァイオリンなら、むしろピアノのほうが合うと思うからです。なにしろ「チェンバロ」にこだわり続けてきた私としては、ヤマハさんの「参入」(?)をたいへん嬉しく思います。

 また、ソプラノリコーダーであればピアノにも音が負けないので、ピアノ伴奏による「日本の歌」もいい提案だと思います。何より編曲と演奏が非常に美しい! 石田は「本物志向」なので、ゴージャスな「管弦楽ふう」の、しかし(言葉は悪いですが)偽者である通信カラオケふう伴奏よりも、シンプルな響きの、しかし本物の音楽である「ピアノ伴奏」「チェンバロ伴奏」のほうをはるかに好ましく感じるのです。そして、繰り返しになりますが、この「ピアノ伴奏」は、音楽的にたいへんすぐれたもので、かけ値ナシの「本物」です。今回の私のイチオシはこれ(ヤマハ「日本の歌」)です。

 ただ、このピアノ伴奏による「日本の歌」の場合、どの歌も「ワンコーラス」であっけなく終わるようになっているのが、一長一短はあるとは思いますが、すこし物足りなく思いました。せめてスコアがついていれば、身近な人にピアノ伴奏を弾いてもらって・・・という遊び方にも活用できるのですが・・・

 いずれにせよ、RJPの活動と時期的に平行して、ドレミさんとヤマハさんがリコーダーのためにこのような曲集を出してきてくださっているのは、嬉しいことだと思います。とくにヤマハさんの「方向」が、RJPに「接近」してきているような気がして、これからの出版物にもおおいに期待がふくらみました。


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