C. P. E. バッハ
ソナタ ニ長調 Wotq 83
★この曲を収録したCDつき楽譜★ ※ 演奏例がお聴きいただけます
SF-021 フルート用 2400円+税
SF-043 フルート用 3800円+税
★解題★
カール・フィリップ・エマニュエル・バッハは、こんにち大バッハとして知られるJ. S. バッハの息子で、生前の名声はむしろ父をしのぐほどのものでした。啓蒙専制君主として名高いプロイセンのフリードリヒ大王に長らく仕えていた関係で、フルート愛好家であった大王のために書いたフルート曲がいくつもあります(もっとも、のちにテレマンの後任としてハンブルグに赴いてからもすぐれた曲を書いていますが)。
この作品は1745年から1749年ごろに書かれたもので、トリオソナタとしてのバージョンもあります(Wotq151)。感情の起伏は比較的小さいのですが、味わい深くて内容の豊かな作品だといえるでしょう。
★解説★
3つの楽章から成っています。
第1楽章はアレグロ・ウン・ポコ(快活に、ただしほどよく)と指定された4分の2拍子の曲です。多彩なリズム型を含むくっきりとしたテーマで開始され、やがてやや対照的な表情を持つ副主題も提示されて、2つのテーマをいろいろに変化させて扱いながら、チェンバロ右手とフルートが対話しながら音楽を紡ぎ出して行きます。
第2楽章はラルゴ(はば広く)、4分の3拍子で、ニ短調です。やはり印象的な息長いテーマで始まり、チェンバロの右手とフルートの対話で進みます。ぼんやり聴き流していると一本調子にきこえるかも知れませんが、控えめな範囲で起伏も気持ちの変化も上品に表現されています。
第3楽章はアレグロ(快活に)8分の3拍子です。3小節のモチーフ2つで始まる開始は斬新で、すばらしく活発に音楽が始まり、8分音符でステップを踏むような副主題もあらわます。後半でははなやかに展開がおこなわれ、やがてフェルマータを挟んでテーマが再現され、終わりに向かいます。
■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※フルート演奏: 大塚由貴 チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司