------------------------------------------------------------------------  リコーダーJP メールマガジン                          102号 2016. 3. 25. ------------------------------------------------------------------------ ★ごあいさつ★  大阪では、花冷えと呼ぶにはチョット強烈な北風が吹き荒れております。週 明けからは暖かくなるそうですが・・・  皆様いかがお過ごしでしょうか。  RJPメールマガジン、第102号をお届けいたします。 RJP刊行物総合カタログ http://www.recorder.jp/rjpcatalogue.pdf ■目次■  <ごあいさつ>  1 そう楽舎公演「春咲きバロック」 (3/30 奈良)  2 本村睦幸氏「小さな室内楽」チェロのみの通奏低音による(4/14 東京)  3 財前奈緒子さん「音絵巻」絵本とリコーダー・スピネット(4/17 大阪)  4 2016年4月の新刊  5 編集後記 …………………………………………………………………………………………… ★1 そう楽舎公演「春咲きバロック」 (3/30 奈良) ……………………………………………………………………………………………  また直前になってのご案内ですが、バロックオーボエ&リコーダー奏者・赤 坂放笛さん主宰の「そう楽舎」の演奏会です。  そう楽舎に限らず、平日昼間の演奏会というのも多くなってきましたね。 http://www.recorder.jp/events/160330.htm ……………………………………………………………………………………………… ★2 本村睦幸氏「小さな室内楽」チェロのみの通奏低音による(4/14 東京) ………………………………………………………………………………………………  「チェロのみの通奏低音によるリコーダーソナタ」という趣向です。ヴェラ チーニの第4番ソナタ、マルチェロ第8番のソナタ、コレルリの「フォリア」と いう名曲揃いのプログラム。 http://www.recorder.jp/events/160414.htm ……………………………………………………………………………………………… ★3 財前奈緒子さん「音絵巻」絵本とリコーダー・スピネット(4/17 大阪) ………………………………………………………………………………………………  財前奈緒子さんとチェンバロの岡本裕美さんのユニット「グラオ☆コロール」 と、絵本作家あおきひろえさんとのコラボ。第4回になるそうです。お子さん とご一緒に楽しめる第1部、古楽ファン向けの第2部があります。 http://www.recorder.jp/events/160417.htm ……………………………………………………………………………………………… ★4 2016年4月の新刊 ………………………………………………………………………………………………  3月は2タイトル(+1)がリリースになります。(+1は同一内容のA5版 製品です。) ■リコーダー四重奏のためのフーガの技法 第13番  弊社「フーガの技法」シリーズはバッハ全集版でなくCPEバッハ校訂による初 版の配列に基づいて出版してきておりますが、このへんから番号がおかしなこと になってきます。今回の「第13番」は、Contrapuunctus inversus XII として 置かれた1対の鏡像フーガの inversus すなわち転回形の方で、原典での収録 順では12番目になります。(原典ではなぜか rectus すなわち原形が13番目) http://www.recorder.jp/piece/3/3053.htm ■ボノンチーニ 室内嬉遊曲集 第3巻  ヘンデルのライバルとして政争に巻き込まれた大作曲家ボノンチーニ。彼が 残してくれたリコーダー(またはヴァイオリン)と通奏低音のための作品集「室 内嬉遊曲集(全8曲)」の、最後の2曲を収録しました。 http://www.recorder.jp/classic/sr/sr088.htm ……………………………………………………………………………………………… ★5 編集後記 ………………………………………………………………………………………………  いつも本村睦幸先生から演奏会のご案内をメールでいただくのですが、今回い ただいたメールのなかに、「バロックソナタの多くが、通奏低音の楽器として 『チェロまたはチェンバロ』を指定しています。」とありました。  言われてみれば、たしかにその通りです。今まであまり気にしていませんでし たが・・・ たんに Basso Continuo となっているものもありますが、チェンバロ またはBass Violinとなっているものもありますし、はっきりと チェンバロまた はViolloncelloと指定されているものも多いように思います。  え、何が不思議なのか?って・・・いや、だって、 Viola da Gamba となっているのを、ほとんど見たことがないのです。  これって、なんか変じゃないですか?  誰がどんな根拠で主張し、流行らせ、常識化したのか知りませんが、かつて、 古楽奏者たちが演奏会や録音で最もよく採用してきた通奏低音の編成は、圧倒的に チェンバロ + ヴィオラ・ダ・ガンバ だったでしょう。  しかし、私は、そのことに、最初からいくぶん疑問を持っていました。  ひとつには、私の場合、ヘンデルのソナタを最初に研究したので、 「こんな楽譜をヴィオラ・ダ・ガンバなんかで弾いたハズがない」 と直感したのです。ヘンデルのアルトリコーダーソナタの低音は、「鍵盤楽器 (というか、はっきりとチェンバロ)」のために発想したものであるのが歴然と しています。だから、イ短調の2楽章の低音なんかをガンバで無理にガシガシ弾 いてるのを見聞きすると、正直「アホちゃうん?」と(爆  そして後年、吉澤実先生のご厚意で自筆譜ファクシミリを見せていただくと、 案の定、ヘンデルは楽譜にガンバやチェロと書くどころか、「通奏低音」とさえ 書いていない。はっきりと、「Cembalo」と書いてるんですよ。 「だよねぇ」と私は思いました。  それに、普通の(つまり6弦の)バスガンバでは、通奏低音は、ちゃんと弾け ないのです。音域が足りない。通常、通奏低音は、へ音譜に下線2本の「ド」の 音までで書いてあることが多い(これが48鍵のスピネットやヴァージナルがカ バーする音域でもある)のですが、これをちゃんと弾くためには、7弦の(低音 の弦を1本加えた)バスガンバでなければなりません。そして、この音域をキレイ にカバーしている弦楽器といえば、チェロということになるのです。  そういうわけで、私は、 ★独奏ソナタ類の通奏低音をチェンバロだけで弾くのは十分に正統的な扱いである と、一貫して思っているのですが、それとともに今回、 ★低音弦楽器を使うなら、ガンバでなくチェロが本来である ということに、明確に気づかされたのです。 そこで、いま私がしんしんたる興味を抱いたのは、 ★チェロよりビオラ・ダ・ガンバのほうが正統的であり、かつ、チェンバロ+ガン  バという編成が最善だ、という「古楽界の常識」を作ったのは、いったい誰? という疑問です。 だって、そう思い込んでいる半可通は多かったですし、そう思い込んでも無理もない だけの「状況」があった。チェンバロ+チェロ で通奏低音を演奏した、誰かのCD に対して、「チェロを使ってるのが許せない」などと息巻いてる人すらいました。 そういう「常識」に取り巻かれて、私は「チェンバロ伴奏」を主張してきたのです。 「へ〜、ガンバがなくても、まぁまぁ感じが出るんだね〜」なんて言われながらね(笑 もう一度。 バロック時代の出版譜の表紙に書いてある通奏低音の編成は「チェンバロ、または チェロ」なのですよ。 つまり、これに従えば、チェロだけでやるのでない限り、チェンバロだけで演奏す べきものなのだ。 (RJPディレクター 石田誠司) ------------------------------------------------------------------------  リコーダーJP メールマガジン                              102号 2016. 3. 25. ------------------------------------------------------------------------ 編集・発行 リコーダーJP http://www.recorder.jp info@recorder.jp ※このメールマガジンは、お申し込みにより配信しています。もしも間 違いやいたずらの登録により配信がなされている場合や、購読を停止 される場合は、リコーダーJPダイレクトの皆様ならば、お手数ですが、  上記 info@recorder.jp まで「メールマガジン不要」などの題でメー  ルでお知らせください。「まぐまぐ」からお申し込みいただいた皆様  は、  http://www.recorder.jp/magazine_mag2.htm  から配信停止のお手続きをお願いいたします。 ※リコーダーJPからの配信は「B.C.C.配信」です。