演奏家紹介コーナー 朝岡 聡さん
〜〜熱烈にリコーダーへの愛を語るフリーキャスター〜〜
●プロフィール●
あさおか さとし
1959年、横浜市生まれ。はじめテレビ朝日に入社し、主としてスポーツアナウンサーとして活躍した後、95年からフリーとなる。
小学生のときリコーダーを用いるバロックアンサンブルに出会い、以来友人とともにリコーダー演奏にのめり込む。ブラスバンド部に所属した中学・高校時代もリコーダーは手放さず、慶応大学在学中はバロックアンサンブルに所属、バロックリコーダーやルネサンスリコーダーにも出会って、さらにリコーダー演奏の経験を積んだ。
1990年代に入ってからリコーダー演奏を大竹尚之氏に師事し、さらに専門的な研鑚を続けつつ今日に至る。注文制作による木製アルトリコーダーを中心に、リコーダーを10本以上所有。2001年にはリコーダー奏者・吉澤実氏が講師となったNHK「趣味悠々」で進行役をつとめるなど、仕事上でもリコーダー愛好家としての顔を、積極的に出されている。
2002年3月、東京書籍より「リコーダーへのラブレター」(朝岡さん)である、『笛の楽園 〜僕のリコーダー人生〜 』を出版、リコーダーとともに歩んだ半生を紹介された。
朝岡聡さん特選情報
過去の特選情報
ブランデンブルグ協奏曲4番ほか
無料コンサート
明治学院大学国際学部コンサートシリーズ
日時:
2006年11月29日 19:00
場所:
明治学院大学白金キャンパス アートホール
アクセスマップ
曲目:
ファッシュ:ヴァイオリンと2本のリコーダー、通奏低音のためのソナタ ト長調
フォンタナ:ヴァイオリンソナタ 第2番
「小鳥愛好家の楽しみ」『笛の楽園』から小曲&トーク(朝岡)
シェドヴィル(伝ヴィヴァルディ):「忠実な羊飼い」第6番ト短調(堀川)
バッハ:4つの小プレリュード
バッハ:無伴奏チェロ組曲第1番 ト長調
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第4番 ト長調(RJP版 石田誠司編曲)
出演:
朝岡 聡(コンサート・ソムリエ、リコーダー)
堀川 智也(リコーダー)
庭山 由記美(バロック・ヴァイオリン)
半澤 朝彦(チェロ)
山本 香代子(チェンバロ)
入場料:
無料
■幸福な出会いを生かした半生 〜〜朝岡聡さんについて〜〜■
朝岡さんと言えば、まず思い出されるのは久米宏さんが司会をつとめるテレビ番組「ニュースステーション」での、スポーツキャスターとしての活躍ぶりである。歌謡番組「ザ・ベストテン」から久米さんが降りると聞いたときに呆然としたほどの久米ファンだった私は、ニュースステーションという番組が始まったころ、欠かさず最初から終わりまで見ていた。若き久米さんの当意即妙のトークとともに、朝岡さんの明るくはつらつとしたキャスターぶりも、多くの人の印象に残っているだろう。私にとっても、朝岡さんは「スポーツのアナウンサー、キャスターさん」であった。
しかしその後、私はテレビというものをほとんど見ない人間になってしまい、仕事以外は、もっぱら作曲の勉強や電子楽器による音楽制作ばかりに没頭しつづけた。そして、やがてリコーダーとの再会があってしばらしくしたころ、必要があって何年ぶりかで雑誌「音楽の友」を手にしたとき、バルトルド・クイケン(有名なフラウト=トラヴェルソ奏者)に朝岡さんがインタビューしていらっしゃる記事を読んだのである。
それは巻頭を飾る、カラー写真をふんだんに使った立派な記事であった。「おお、クイケンも貫禄が出たもんだなぁ」などと思うと同時に、「はて、このインタビュアーの朝岡という人は・・・知っているぞ・・・」と感じながら読んだのを覚えている。
後になってやっと昔の「ニュースステーション」の記憶と「音友」の記事とが結びついたという次第だったのだが、このインタビューでも、朝岡さんは「リコーダーの熱烈なファン」ぶりを遺憾なく発揮していらっしゃった。とくに、朝岡さんが「バッハのロ短調ソナタは全フルート曲を通じて最高の曲」だと語りつつ、「バッハがリコーダーソナタを1曲も書かなかったのが残念でしょうがない」という意味をおっしゃっていたのが、強く印象に残っている。言うまでもなく、「まったく同感!」という思いに打たれたからである。(ちなみに、お仕事柄とは言え、クイケンやブリュッヘンといったすばらしい音楽家と親しくお話をする機会がある朝岡さんを、うらやましいと思うのは私だけではあるまい。)
私がテレビを全く見なかった間に(いや私は今でもほとんど見ないのだが)、私とほぼ同年代の朝岡さんは、お茶の間の人気を集める人気キャスターとして成功を収めてゆかれた。そして今や、さきのインタビューもそうだが、また昨年(2001年)にはNHKのリコーダー番組で進行役を務められるなど、お仕事においても常々リコーダーへの愛をまっとうされている。演奏会の企画・プロデュースなども手がけておられるそうだ。その一方で、アマチュア奏者として、アンサンブルでの活動も現在も続けていらっしゃるのである。実にすばらしいことだ。
朝岡さんのご著書『笛の楽園』によると、朝岡さんは、小学校卒業間際にチェンバロ伴奏のリコーダー独奏の生演奏に触れる機会があって、以来、リコーダーにずっと親しんでいらっしゃったという。このご経歴はうらやましい限りである。学校で教育用楽器として持たされた楽器の「本当の姿」に、こんなに早くに出会うことができたのが、朝岡さんの幸運の一つであったろう。
その意味で、リコーダーJPとしても、小学生や中学生に「チェンバロ伴奏のリコーダー独奏」を、できる限り聴かせてあげたいものだと念願している。そう、アマチュア奏者の皆さん、ぜひ、地域の小学校・中学校で、子供たちに「チェンバロ伴奏のリコーダー」を演奏して聴かせてあげてください! 私個人も、今は忙しすぎて無理だが、いずれ必ずそういう活動を行いたいと思っている。そういう思いは、前々から抱いていた。
私ごとで恐縮だが、「リコーダーソロイスト」という曲集も、私の「独奏リコーダー提案」の一環として構想したもので、実を言うと、中学・高校での音楽科副教材、ないし「希望教材(希望生徒のみ購入できる自習用教材)」としてご採用いただけることをめざして制作したものだった。実際には、ちょっと高いとか、いろいろあって、残念ながら今のところ学校用教材としてはなかなか受け入れていただけないので、一般の皆さん向けに販売していただいている。
しかし、あの曲集も、元来、「子供たちにリコーダーを教えるなら、この楽器の本当の姿を教えてください!」という思いで構想し、まとめたものだったのである。リコーダーJPとしても、いずれ必ず、学校教育に対する提案を再び行いたいと思っている。何よりも、それが、「第二の、幾万人の朝岡さん」を生み出す原動力になると思うからである。
それはさて置き、『笛の楽園』(東京書籍)で書かれている、上のような「独奏リコーダーとの出会い」のエピソードに始まる朝岡さんの「リコーダーへの思い」には、多くのリコーダーファンが心の底からの共感を覚えるに違いない。私は本当に全ページからあふれ出るような、音楽とリコーダーへの熱い愛情に、胸を打たれっぱなしであった。
また、朝岡さんは、私とほぼ同年代とは言え、リコーダーとのつきあいの深さにおいて、ここ数年のかけ出しファンである私などとはまったく比較にならない。したがって、リコーダーに対する認識や知識の深さはたいへんなものである。それが、このご著書では、存分に発揮されていて、多くのリコーダーファンにとっても勉強となる内容がきっと含まれている。私も恥ずかしながらたくさん勉強させていただいたので、このサイトの記事にも、たくさんの追加や補足、ときには訂正すら必要なところがあるのを思い知った。
これは本当にすてきな本である。この場を借りて、この書物を、すべてのみなさんに声を大にしてお勧めする次第である。
リコーダーJP ディレクター 石田誠司
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