■アマ独奏リコーダー奏者の草分け 〜〜西原武さんについて〜〜■
●大先輩
●ブルペンエース?
●人前での演奏
●これからの期待 |
■大先輩
西原さんは、拙著「リコーダーソロイスト」をたまたま見かけてくださり、即決でお買い上げくださったのだそうだ。発売後、ほんとうに間もないころだったから、もしかしたら「最初に買ってくださったかた」だったのかも知れない。
それで、人づてにご感想をお寄せいただいたりしたことからおつきあいをいただくようになり、私がプロデュースした演奏会にも何度もご出演いただいた。もちろんたいへん立派な腕前で、じょうずなかただなと思っていたのだが、今回、サイトのために詳しいご経歴をお教えいただいて、あらためてその筋金入りの音楽人生の一端を垣間見させていただいた思いである。
西原さんは、日本のリコーダーファンの草分け的な世代に属し、しかも、早くから独奏リコーダーに取り組んでいらっしゃったのである。いわば私にとっても大先輩に当たるわけで、こんなかたから「先生」だなんて呼んでいただいていて、いいのだろうか? と自分が恥ずかしくなった。
■ブルペンエース?
だが、ここでちょっとバラしてしまうと、私がプロデュースしたいくつかの小演奏会にご出演いただいたさい、もうほんとに小さな気の張らない演奏会なのに、西原さんは、笛を持つ手が震えるほど、緊張してアガっていらっしゃったことがあった。
いや、私もちょっと欲張ったプログラムを組んだ演奏会では、完全にアガってしまって演奏がぼろぼろになり、冷や汗びっしょりになった経験があるので、お気持ちはよくわかる。それに、私なんかとは違って、西原さんの場合は、手は震えていても、演奏自身に大きな破綻は何もなかったことも申し添える。
だが、それにしても、西原さんは、30年も前から高級木製リコーダーをお持ちになっていた古くからの独奏リコーダー奏者である。私などはるかにしのぐ腕前をお持ちなのはもちろんだし、しかも、私でもほとんどプレッシャーを感じずにすむような、さほど難しくもない曲目を、1、2曲演奏していただいただけだったのだ。そう考えると、ちょっと不思議である。
※追記
西原さんは、その後、街頭パフォーマンスや「三田屋ライブ」でステージ経験を積まれ、現在では完全に「ブルペンエース」を脱却して真のエースとなられました。2006年1月に三田屋さんでのライブを聴かせていただいて、すばらしいエンターテナーぶりに感嘆しました。(2006年2月)
■人前での演奏
だが、思い当たることはなくもない。これはつまり、話は逆なのだ。
西原さんは、永年、リコーダー独奏をお1人で楽しんでこられたかたである。つまり、人前でリコーダーを演奏される機会がほとんどなく、西原さんにとって、リコーダー演奏とは、1人で自分の楽しみのためにする行為だったのだ。だからこそ、「リコーダーを人前で吹く」ということに、とてもとまどいがあったのだろうと私は想像する。
だって、リコーダーを吹くということ以外なら、西原さんは「人の前に立つ」ことについて、いろいろ豊富なご経験をお持ちなのである。結婚式などで電子オルガンを弾いたり、いろんなイベントの司会をされたことも多かったと伺っている。だから、とにかく人前に出るのが駄目、というタイプではないのである。これはやっぱり、「リコーダーだけは、永年、1人で演奏するという以外のことをしていなかった」が故だったのではないかと私は思う。西原さんにとって、リコーダー演奏とは、1人で自分の音と向き合って音楽演奏を行うことだったのだ。
私は、「いいなぁ、そんなふうに音楽演奏を楽しめるっていうのは、本当に音楽がお好きな証拠だなぁ」と思う。
■これからの期待
だが、西原さんは、けっして人前で演奏するのがお嫌なのではないようだ。お声がけすると、「緊張します」とおっしゃりながらも、いつも出演をご快諾いただいてきた。これからも、リコーダー奏者・西原さんには、いろいろお願いしたいことが出てくるだろう。
そして、実はそれだけではなくて、西原さんは、MIDIチェンバロ奏者としても、なかなかの腕前をお持ちなのである。ご自身のご希望としても、MIDIチェンバリストとしての活動をむしろ中心にしたいというご意向を伺っている。遠くない将来、西原さんの演奏になる伴奏をお届けできる日が来るだろう。
永年積み重ねてこられた音楽とリコーダーへの愛は本物だ。リコーダーJPは、実に心強い協力者を得たと思う。
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リコーダーJP ディレクター MIDIチェンバリスト 石田誠司 |
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