吉沢実先生にご監修をいただいたことにともなうおもな訂正箇所は、次の通りです。
「リコーダーソロイスト」
訂正箇所
(2006.5.18)
■1 図の差し替え
小指をジョイント部に添えて楽器を支える方法」に関する図を、左図から右図に差し替え →
(本では印刷はモノクロです)
■2 用字・用語について
本冊子で使っている「指穴」などの「穴」は地面にほったあなのような「底のあるあな」のことで、リコーダーの指あなのような貫通していつあなのことは「孔」を用いるべきでした。また、「指使い」ということばも「指遣い」の方が正しい用字です。
■3 2ページについて
本文ではタイトルが「持ち方・くわえ方…」とありますが、「くわえる」という表現は本来「歯と歯でかむ」意味になります。しかし、リコーダーは歯ではさむのではありませんので、「吹き口を唇ではさむ」ようにしてください。それから、タンギングの説明で「lu(ル)」について説明していますが、「ru」と書かれることもありますので付記します。また本文6行目に「軽く持つ」という言い方がありますが、「持つ」という言い方でなく「軽く支える」とすべきでした。
本文の最終パラグレフ前半は、次のように訂正します。
「◆ 楽器のうらの孔は左手の親指の腹の、やや内よりで閉じます。表がわの孔は上から順に人指し指、中指、薬指にあてられていますので、それぞれの指先の指紋のあるところで軽く押さえます。 左手の小指は遣いません。右手は人指し指から小指までが、順に指孔を担当します。……」
■4 20ページについて
解説文の第1パラグレフに「右手の指を使う音になったら、左手で楽器をしっかりと持つ」とありますが、「しっかり持つ」という表現にはかなり問題があり、これではまるで力を入れて持たなければならないように聞こえます。しかし、リコーダーの保持において指に力が入ってはなりませんから、これは無用の指示でした。ここは「右手の親指の位置に注意し、バランスよく支える」などとあるべきでした。
■5 29ページについて
「ドのシャ―プ」に関する説明で、「薬指を省略することもできる」とあるのはこのままでは誤った解説で、よほど弱い音を吹くなど特別な場合以外には薬指を省略することはありません。また「場合によっては」薬指の穴(孔)を両方押さえるほうがいいときもあります」とある、このような「場合」には「ラ・ド♯・ミ」の和音の構成音としての「ド♯」を長く吹くような場合や、大きな音を得るため強く吹く場合などがあります。
第3パラグレフに「to(ト)」のタンギングについて説明していますが、ふつうに「ト」と発声するときは下あごが開くように動きますから、ここでは「下あごを動かさないように」ということに注意してください。
■6 40ページについて
第2パラグレフで「シのフラットで小指をはぶく」ことができる場合について述べていますが、これは(ごく速い=短い音符でならば)「替え指」としてあり得る範囲なので、「リコーダーの専門の多くの先生に叱られる」というほどのことはないようです。
■7 51ページについて
「ミ♭」について、指づかいの図ではひとつの図(0134)しか掲載していませんが、右手を人差し指でなく中指にする指づかい(0135)もあり、この方が高めの音が得られます。対して、解説1行目で「右手薬指も押さえる場合がよくあります」とありますが、「ミ♭」は高めに取ることが多いので、この解説は適切でありませんでした。
サミングの解説の図では、少し親指穴のあけ方が大きく見えすぎています。1〜2mmぐらいのすき間をあけるだけなので、半分ぐらいもあけてはいけません。
最終パラグレフで「高い音ほど強い息が必要になり」とあるのは正しいのですが、「タンギングも強めにしないと鳴りにくくなります」とあるのは問題で、タンギングを強くするとかえって音が割れやすくなります。最高音域の音は、むしろスラーで隣の音から移るほうが出しやすいぐらいなのです。
■8 63ページについて
「高い音をうまく出すため」の解説で、「親指穴(孔)のあけ方を小さくする」とありますが、これは一概には言えず、むしろ大きめにあける方がうまく出る場合もありますから、「親指孔のあけ方を調節する」とあるべきでした。また、前述のように「強めのタンギングをする」のは逆効果となります。
■9 表紙見返しの運指表について
前述の「■7」にあるように、「ミ♭」については右手薬指は原則として押さえないようにしてください。また、右手人指し指のかわりに中指を用いる形(0135)を追加します。
最後の方にある「高いファ♯」について、表に掲載されている指遣いは音が高すぎてほとんどの場合に実用性がありません。これにかわる、正確な「ファ#」を鳴らせる指遣いとして、「“高いソ”の指遣いで管の先を膝などに当ててふさぐ」という方法がよく用いられます。
また、「高いソ」「高いファ♯」については、楽器により、また音程の都合により、右手小指も押さえる場合があります。