ヘンデル
ヴァイオリンソナタ イ長調 作品1-14
★この曲を収録したCDつき楽譜★ ※ 演奏例がお聴きいただけます
SV-032 ヴァイオリン用 2400円+税
★解題★
ヘンデルのヴァイオリンソナタは、いわゆる「作品1」にぞくする、作品1−3、1−10、1−12、1−13、1−14、1−15を合わせた6曲とされてきたのですが、他にも自筆譜がみつかったりした曲がいくつかありますので、最近の演奏家がヘンデルのヴァイオリンソナタをまとめて取り上げるときには、それらの曲も演奏されるのが普通です。逆に、作品1−10、1−12、1−14、1−15については、自筆譜がみつかっていないうえ、当時の人の手で楽譜に「ヘンデル氏の作ではない」とメモ書きされているのがみつかったりしたため、真筆でない疑いも持たれており、除外して扱われることが多くなりました。
そもそもヘンデルの「12のソロ 作品1」は1730年ごろアムステルダムのRodger版として出たのが最初ですが、これはロンドンのWalshがヘンデルにもRodgerにも無断で出した、一種の海賊版だったとのことです。次いで数年のちに、そのうち2曲のヴァイオリンソナタを別の2曲のヴァイオリンソナタに差し替えてWalsh版が出版されました。さらに旧ヘンデル全集(クリサンダー版)では、両版をあわせた計14曲に、新たに1曲のヴァイオリンソナタ(ニ長調・作品1-13)を加え、15曲から成る「作品1」を構成したのです。
ずいぶんややこしい成立経緯ですが、これは元はと言えばWalshが「合計12曲」という体裁にこだわったために無理して曲をかき集めたのが原因だとされています。
★解説★
作品1−14ははつらつとした曲調の名作で、多彩なリズム型を惜しげなく盛り込んでいる点に特徴があります。
第1楽章はアダージョ、4分の4拍子です。しっとりと歌い出しますが、細かな音符をふくむ多彩なリズム型をつぎつぎにくり出しながら音楽が進みます。
第2楽章はアレグロ、4分の4拍子です。決然とした開始のモチーフ、かろやかな経過句、半音階進行に味がある終結句など、性格の違うモチーフをあやつりながら、無駄なく簡潔に曲をまとめています。
第3楽章はラルゴ、2分の3拍子で、嬰ヘ短調です。大きな音符でしっとりと悲しみを歌います。
第4楽章はアレグロ、8分の3拍子です。3度の重音を用いた力強いモチーフで始まり、軽妙に進みます。後半ではさらに3連符や32分音符のモチーフも駆使してあざやかな展開をみせます。
■ヴァイオリンによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
※ヴァイオリン演奏: 串田えがく チェンバロ(電子楽器)演奏: 石田誠司
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