ソナタ 作品5-1
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★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
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★解題★
イタリアバロックを代表する作曲家・コレルリ(コレッリ)の「作品5」は、2分冊12曲から成るヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ集で、作曲家として脂の乗りきった40才代のころ1700年に出版されました。これは芸術的にも音楽史的にもきわめて重要な作品として、高く評価されている傑作です。当時もすぐさまその価値が認めれ、19世紀にかけて30数回も版を重ねました。そして、発刊の翌々年である1702年ごろには、早くもリコーダー用編曲の出版もおこなわれました。
作品5-1のソナタは、原曲(ヴァイオリンソナタ)ではニ長調で、アルトリコーダーの場合はへ長調に移調して演奏します(予定)。
★解説★
5つの楽章から成っていますが、全体をひとつの主題が強く支配するように構成されています。
第1楽章は、まずグラーヴェ(荘重に)・4分の4拍子の短い序奏があり、続いてアレグロ(快活に)・8分の6拍子で、低音のオルゲル・プンクト(たったひとつの音を長く伸ばして弾くだけの低音)に乗って少し自由に奏する部分があります。それがひとしきり終わると、こんどはアダージョ(ゆっくりと)の短い音楽があって、いったん完全に音楽が終止します(ただし調は元のニ長調でなくイ長調ですが)。「これで終わりなのか?」と思うとそうではなく、やがてもう一度グラーヴェの序奏が現れ、次にアレグロ、そしてアダージョと、やはり同じ順で進みますが、もちろん単なる繰り返しではなく、特にアダージョ部分は内容が格段に発展・拡張された充実した音楽になっています。
第2楽章はアレグロ・4分の4拍子で、フーガの手法を大きく取り入れた作りになっています。およそ5つの部分から成ると見てよいでしょう。まず、第一の主題をフーガ主題として次々に応答を重ねてつくられる第一部分(1-17小節)。第二の主題をフーガ主題として扱う第二部分(19-30小節)。独奏部に「アルペジオ(自由に和音を分散して奏する)」を指定した長い展開部(31-42小節)、この第三部分の勢いを受けて新しい主題を躍動的に扱う部分(42-54小節)、そして最後の終結部(54小節以下)です。終結部では、独奏部に第一主題の音型が回帰したかと思うと低音には第二主題が現れ、そして突如テンポを落とすと、第三部をいろどった自由なアルペジオが回帰し、そしてはなやかな即興的パッセージを奏して終わります。いわば、短い終結部の中に、もう一度楽章全体を鮮やかにフラッシュバックさせてみせたわけです。実にすみずみまで計算し尽くされた周到な曲づくりだと言えましょう。
第3楽章はアレグロ、4分の4拍子で、16分音符がたえず動くトッカータふうの音楽です。平凡なようですが、細かいところまで細かく神経が張りめぐらされ、磨き抜かれた出来栄えで、やはりこれはコレルリ以外の手からは生まれ得なかった作だと感嘆させられます。
第4楽章はアダージョ、2分の3拍子です。ニ短調からみると「平行短調」であるロ短調jの音楽で、全体に強い悲しみを感じさせる曲調です。「フリギア終止」の手法で半終止し、ただちに第5楽章に続きます。
第5楽章はアレグロ、8分の6拍子です。独奏部によって提示されたテーマ(第2楽章のテーマとの近親性は一聴して明らかでしょう)は、独奏部ばかりか通奏低音も複数の声部を担当する書法のもとで次々に応答され、しっかりと存在を刻み付けます(1-19小節)。そのあとははなやかな展開部になり、やがて高揚感がきわまったところで主題が再現します(41小節)。これに対して低音が応答しますが、しかし本格的なフーガ部分の再現にはならず、音楽は収束に向います。6拍分が4分の3拍子に感じられるようになる通常のヘミオラだけでなく、最後には9拍分をまとめて8分の9拍子に感じられる変則ヘミオラも登場して、新鮮な楽しさの中で全曲が締めくくられます。
※演奏例がお聴きいただけます
■リコーダーによる演奏(ヘ長調)
第1楽章 C−3
第2楽章 C−2
第3楽章 C−3
第4楽章 B−1
第5楽章 C−2
※リコーダー演奏: 石田誠司 チェンバロ(電子楽器): 石田誠司
■ヴァイオリンによる演奏(ニ長調)
第1楽章
第2楽章
第3楽章
第4楽章
第5楽章
※ヴァイオリン演奏: 棚田めぐみ チェンバロ(電子楽器): 石田誠司
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