ソナタ ト長調 作品30-15
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★この曲を収録したCDつき楽譜★
2155 アルトリコーダー用 1800円+税
SR-079 アルトリコーダー用 3800円+税
ダウンロード製品 620円(税込)
アルトリコーダー用: RG-155 900円+税(絶版)
★解題★
J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)
すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。
RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)
★解説★
原典ではト長調または変ト長調の「第13番」のソナタで、「第15番」はブリュッヘン版による番号です。
全体は7つの楽章から成り、前奏曲つきの組曲のような構成は、シックハルトが好んだ形です。 ただ、この曲では舞曲名は第2楽章のAllemandaと第6楽章のGiga以外は明示されていません。 さわやかな曲調の佳品です。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。ゆったりと歩みながらやわらかに歌い上げる曲調で、あまり類例の多くない、独創的な曲になっています。
第2楽章はアレグロ(快活に)と指定されたアルマンドで、4分の4拍子です。アルマンドは4拍子系の舞曲で、「ドイツ風」の意味です。シックハルトのアルマンドは概してやや快速な感じの曲が多いのですが、この曲もそうで、軽妙な味がシックハルトらしい良さです。
第3楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、4分の3拍子で、記載されていませんが、シックハルトが大好きだったコレンテでしょう。この付点リズムによる軽快な曲調はシックハルトではお馴染みのものです。ときおりやわらかな表情もみせることにより、味わいが深くなっています。
第4楽章は2分の3拍子のアダージョで、この楽章だけは典型的な舞曲の姿をしていません。やわらかにしっとりと歌います。
第5楽章はアレグロ、4分の4拍子で、これも名前の記載はないものの、シックハルト風の速いガヴォットだと思います。ただ、あまり速く演奏するのは、低音の連打があるために難しいでしょう。ユーモラスで品のいい出来栄えです。
第6楽章はアレグロ、8分の6拍子のジーグです。前半の軽いオスティナート(同じ音型を繰り返す技法)、後半の力強い盛り上がりかたなど、魅力たっぷりの内容です。
第7楽章はアレグロ、4分の3拍子で、メヌエットなのでしょう。軽快な分散和音のモチーフと伸びやかな順次進行中心の旋律がくり出されて、たいへん気持ちよく進みます。中間部はややなだらかな音楽で始まりますが、後半には少し力が入る箇所があり、さらに主要部の開始モチーフに由来するエピソードも挟みます。変幻自在にしてゆるみのない、すばらしい終曲です。
★試聴ファイル★
通奏低音(電子楽器): 石田誠司 リコーダー: 長井 舞さん
※カッコ内の表示は「指回り難度」です。
第1楽章(B−2)
第2楽章(C−1)
第3楽章(B−3)
第4楽章(B−1)
第5楽章(C−1)
第6楽章(C−1)
第7楽章(B−3)