ソナタ イ長調 作品30-19
★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
2182 アルトリコーダー用 1500円+税
SR-098 アルトリコーダー用 3800円+税
ダウンロード製品 1860円(税込)
アルトリコーダー用: RG-182 900円+税 絶版
★解題★
J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)
すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。
RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)
★解説★
7つの楽章から成るソナタです。イ長調は「シャープ3つ」で、最初は「ミ#」やら「シ#」やらにかなり戸惑うかも知れません。しかし曲は爽快かつ工夫の凝らされた面白い作品ですので、練習しがいがあるでしょう。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)4分の4拍子です。シックハルトが好んだ語り口で、フレーズが16分音符2つのセットで終わる箇所が多いので、ブレスに工夫が必要です。
第2楽章はアレグロ(快活に)、4分の4拍子です。シックハルトらしい、明るい調子の良さを楽しめる軽快な楽曲ですが、演奏する上では、込み入ったクロスフィンガリングが多くてかなり大変です。
第3楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)、4分の3拍子で、本作で最も力のこもった規模の大きな楽章です。基本的にフレーズがアウフタクトから始まる音楽で、やはりフレーズの終わりで音符が細かくなるシックハルトが好んだの節回しのせいもあって、指づかいだけでなく、ブレスにも難しさがあります。
第4楽章はラルゴ(ひとびろと)2分の3拍子です。比較的静かな感じで歌い始めますが、後半に入ると短調になって緊張を強め、最後はまた明るい調子に戻ってしめくくります。姿よくまとまっています。
第5楽章はアレグロ、4分の4拍子です。3連符を用いたモチーフで始まりますが、このかんも低音は二連のノリ。以下、リズム感が衝突する面白さが随所に感じられる、ちょっとユーモラスな楽章です。
第6楽章は8分の6拍子のジーグ。付点リズムを含んでいるので、そんなにとんでもない速さの曲ではないと思いますが、切れ味鋭くくっきりと付点リズムを奏することで生き生きとした音楽になるでしょう。
第7楽章は4分の3拍子で、アレグロと指定されていますが、メヌエットなのでしょう。ばたばたしたところのない、落ち着いた感じの終曲です。
★試聴ファイル★
通奏低音(電子楽器): 石田誠司 リコーダー: 石田誠司
※カッコ内の表示は「指回り難度」です。
第1楽章(C−1)
第2楽章(C−2)
第3楽章(C−2)
第4楽章(B−3)
第5楽章(C−2)
第6楽章(C−2)
第7楽章(C−1)