ソナタ イ短調 作品30-20
全曲(ノーカット)が試聴できます
(YoutubeのRJP応援チャンネル「リコーダーの底力」)
★この曲を収録した伴奏音源つき楽譜★
2187 アルトリコーダー用 1500円+税
SR-098 アルトリコーダー用 3800円+税
ダウンロード製品 1860円(税込み)
アルトリコーダー用: RG-187 900円+税 絶版
★解題★
J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)
すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。
RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)
★解説★
7つの楽章から成り、シックハルトの個性がよく発揮され、よくまとまった佳作です。
第1楽章はアダージョ(ゆっくりと)、4分の4拍子です。かなり細かな音符まで書き込まれており、ゆっくりした曲ながらもリズミカルな歩みです。最後はフリギア終止で半終止となり、次の楽章にすぐに進むようになっています。
第2楽章はアルマンドと題され、4分の4拍子、カンタービレ(よく歌って)と指定されています。調子よく16分音符の動きを中心として進むシックハルトらしい爽快な音楽です。テンポの選び方にはいろいろ考え方があると思いますが、「カンタービレ」という指定を重視すれば、あまり速いテンポは避けるのがいいかも知れません。
第3楽章はヴィヴァーチェ(生き生きと)と指定され、4分の3拍子です。かなり速いテンポが合いそうな、これも爽快な感じの曲ですが、叙情的な旋律にハッとさせられる瞬間もあります。
第4楽章はアダージョ、2分の3拍子で、付点リズムを基調とする音楽です。さびしげな風情をたたえた哀切なしらべです。
第5楽章は4分の3拍子のコレンテ(クーラント)です。シックハルトが得意とした付点リズムによる活発な楽曲で、最後のほうでは少しスラーを導入して変化を求めています。引き締まった佳品です。
第6楽章は8分の6拍子のジーグで、気迫のこもった四分音符から始まります。かなり速いテンポで行きたくなる雰囲気も持っていますが、最後に16分音符が出てきますから、あまりぶっとばすわけにも行きません。リズミカルな音楽ですが、歌謡性もかなり強いので、やわらかめに奏する箇所あり軽快に行く箇所ありと、ある程度メリハリをつけてみると面白いと思います。
第7楽章は4分の4拍子で、アレグロ(快活に)と指定された、快速で短いガボットです。この曲も付点リズムで、本作はかなり付点リズムにこだわった作品になりました。
★試聴ファイル★
通奏低音(電子楽器): 石田誠司 リコーダー: 石田誠司
※カッコ内の表示は「指回り難度」です。
第1楽章(B−3)
第2楽章(C−1)
第3楽章(C−1)
第4楽章(B−1)
第5楽章(C−1)
第6楽章(C−1)
第7楽章(C−1)