ソナタ 変ロ短調 作品30-22
Youtube のRJP応援チャンネル「リコーダーの底力」より
全曲の演奏(ノーカット)の試聴ができます。
★この曲を収録したCDつき楽譜★
2195 アルトリコーダー用 1500円+税
SR-104 アルトリコーダー用 3800円+税
ダウンロード製品 620円(税込)
アルトリコーダー用: RG-195 900円+税 絶版
★解題★
J.C.シックハルトの「24のソナタ 作品30」は、原題は「音楽のアルファベット 24のソナタ」で始まる長いもので、1735年ごろの出版だそうです。1722年に発表された大バッハの「平均率クラヴィーア曲集」と同様に、「すべての調によるソナタ」であることが狙いの一つだったようで、フルート、ヴァイオリン、リコーダーのどれで演奏してもよいことになっていました。(音域が違いますから、その場合は音符記号の読み替えにより、移調して演奏するようになっていました。)
すべての調、というからには、シャープやフラットの記号が5つも6つもついたような調号になる曲も出てくるわけですが、難しい場合は、やさしい調で演奏することもできるようになっていました。たとえば、「嬰ハ長調」(シャープ7つの調)の曲の楽譜を、「ハ長調」の楽譜として読んでしまえば格段にやさしくなります。そういうことをしてもよいということになっていたのです。
RJP版では、フランス・ブリュッヘンらが提案している調の選定(全音楽譜出版社刊「24のソナタ」による)と曲配列にもとづいて出版していきます。(ブリュッヘン版では原典と異なる曲配列になっていますが、RJP版でもブリュッヘン版が付した曲番号を踏襲するということです。)
(一部改稿 2011.08.24.)
★解説★
8つの楽章から成るソナタです。短めの楽章を集めた小品集のようなおもむき。「フラット5つ」にはややたじろぐかも知れませんが、少し頑張れば楽しく演奏できるかたも多いでしょう。
第1楽章はカンタービレ(歌うように)と指定され、4分の3拍子です。分散和音で始まるテーマから、しだいに速い動きで味付けをしながら音楽が進み、最後は少し自由な感じで演奏するエピソードで、次の楽章を呼びます。
第2楽章はアレグロ(快活に)と指定された4分の4拍子のアルマンドです。シックハルトらしい節回しで小気味よく音楽が進みます。
第3楽章ラルゴ(広びろと)、2分の3拍子。半音で動くテーマに始まり、やや打ち沈んだ感じで音楽が進み、最後は半音階的に上昇してクライマックスを築きます。
第4楽章は再びアレグロで、4分の4拍子。弾むようなリズミカルな音楽ですが、あっという間に終わります。
第5楽章は4分の3拍子で、シックハルト特有の、そして大好きな、付点リズムのコレンテです。フレーズの長さが不規則なところに工夫があって、面白くつくられています。
第6楽章はヴィヴァーチェ(生きいきと)、4分の3拍子です。短いメヌエットなのかという感じです(この時代にヴィヴァーチェのメヌエットというのもやや珍しいでしょうけれど)。何でもないようですが、表情に変化があって楽しい小品です。
第7楽章は8分の6拍子のジーグです。通常の「前半後半をそれぞれ繰り返し」の形ではなく、途中で何度も部分的な繰り返しを挟む、独特な構成です。和声にも工夫のる佳品。
第8楽章はアレグロと指定されたガボットです。ガボットはアウフタクトから始まることが多いのですが、この楽章は強拍から始まっていて、「これがガボット?」という感じもなきにしもあらず。しかし、短いなかに多彩な表情が織り込まれた楽しい終曲です。
★試聴ファイル★
通奏低音(電子楽器): 石田誠司 リコーダー: 長井 舞
※カッコ内の表示は「指回り難度」です。
第1楽章(B−3)
第2楽章(C−1)
第3楽章(B−2)
第4楽章(C−1)
第5楽章(C−2)
第6楽章(C−1)
第7楽章(C−2)
第8楽章(C−2)