リコーダーJP W. A. モーツァルト作品


初期フルートソナタ 変ロ長調 K. V. 10

★この曲を収録したCDつき楽譜★

SF007 フルート用 2800円+税


★解題★

 モーツァルトの初期フルートソナタ(KV10〜15)は、彼が8歳のとき(1764年ごろ)に作曲され、イングランド女王に献呈されました。そしてルイ・モイーズによって独奏フルートにオリジナルにおけるよりも重要な役割を与えるよう編曲され、幾多のすぐれたフルート奏者がモイーズ版を用いてきました。この版では、モイーズ版を底本としつつ、原典に対する忠実度を高めるため新モーツァルト全集も参照して編曲を行ないました。

 これらのソナタは天才の若書き(幼書き?)と言うにはあまりにも完成度が高く、しかも、成年以後にはむしろ見出しがたくなった伸びやかな勢いを持つ、不滅の名曲です。


★解説★

■変ロ長調 K.V.10
 3楽章から成り、すっきりした形式感とともに、若々しくフレッシュなアイディアに満ちた魅力あふれるソナタです。

 第1楽章はアレグロ、4分の4拍子。アルベルティ・バスに乗って軽やかに第1テーマが歌い出されます。第2テーマは16分音符の経過句ふうの主題です。後半で、ピアノの右手とフルートがお茶目にウィンクをかわすところは何ともチャーミング。

 第2楽章はアンダンテ、4分の3拍子の長大な楽章です。おだやかに歌い出します。装飾的な第2テーマはまずピアノにあらわれ、ついでフルートに歌い継がれます。繰り返しのあと、展開部では第1テーマが扱われたあと、オクターブ跳躍を含む新しいテーマがあらわれ、音楽は瞑想的な様相を帯びます。

 第3楽章はトリオ(第2メヌエット)を持つメヌエットで、すでに大家のような風格を持つ上、音たちが本当にはつらつとしていて、バロックの気品とはすっかり違う空気を呼吸している音楽であることが感じられます。大バッハが亡くなってわずか10余年、ヴェラチーニやバルサンティなどはまだ生きていたというタイミングに書かれたことを思うと、まさに新しい時代の大スターの登場を実感できるでしょう。

※ 演奏例がお聴きいただけます

■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※フルート演奏: 大塚由貴  ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司




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