初期フルートソナタ ヘ長調 K. V. 13
※ 演奏例がお聴きいただけます★この曲を収録したCDつき楽譜★
SF008 フルート用 2800円+税
★解題★
モーツァルトの初期フルートソナタ(KV10〜15)は、彼が8歳のとき(1764年ごろ)に作曲され、イングランド女王に献呈されました。そしてルイ・モイーズによって独奏フルートにオリジナルにおけるよりも重要な役割を与えるよう編曲され、幾多のすぐれたフルート奏者がモイーズ版を用いてきました。この版では、モイーズ版を底本としつつ、原典に対する忠実度を高めるため新モーツァルト全集も参照して編曲を行ないました。
これらのソナタは天才の若書き(幼書き?)と言うにはあまりにも完成度が高く、しかも、成年以後にはむしろ見出しがたくなった伸びやかな勢いを持つ、不滅の名曲です。
★解説★
■ヘ長調 K.V.13
6曲中、もっともよく演奏される作品かも知れません。モーツァルトが晩年までずっと偏愛した下降音型の主題を持つ第1楽章、淡々とした不思議な味わいの第2楽章、半音階的主題を持つ速いメヌエットの第3楽章から成り、変化に富んだ傑作です。
第1楽章はアレグロ、4分の2拍子。冒頭の主題はモーツァルトが生涯通じて何度使ったかわからないほど愛したモチーフですが、もしかするとこの曲が「初出」ではないでしょうか。この曲ではトリルを折り込んで切れ味鋭いメロディーになっています。展開部では短調の厳しい表情も垣間見せます。
第2楽章はアンダンテ、4分の4拍子の長大な楽章です。ジグザグ音階を基調とする低音に乗って、へ短調の、ちょっぴりもの悲しいメロディーが繰り返し歌われます。何となく聞き流していたりするとモノトーンな音楽に聞こえかねませんが、実は和声の変化や転調によって音楽の色合いが微妙に移り変わっていく、なかなか味のある音楽です。RJP版の伴奏と演奏例では後半のリピートを省略しました。
第3楽章はメヌエットで、比較的速いテンポが合うと思います。半音階を駆使したテーマの第1メヌエットと、ニ短調で分散和音を駆使したメロディーの第2メヌエットの対照も鮮やかな、可憐な音楽です。
■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
第3楽章
※フルート演奏: 大塚由貴 ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司
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