初期フルートソナタ 変ロ長調 K. V. 15
※ 演奏例がお聴きいただけます★この曲を収録したCDつき楽譜★
SF010 フルート用 2800円+税
★解題★
モーツァルトの初期フルートソナタ(KV10〜15)は、彼が8歳のとき(1764年ごろ)に作曲され、イングランド女王に献呈されました。そしてルイ・モイーズによって独奏フルートにオリジナルにおけるよりも重要な役割を与えるよう編曲され、幾多のすぐれたフルート奏者がモイーズ版を用いてきました。この版では、モイーズ版を底本としつつ、原典に対する忠実度を高めるため新モーツァルト全集も参照して編曲を行ないました。
これらのソナタは天才の若書き(幼書き?)と言うにはあまりにも完成度が高く、しかも、成年以後にはむしろ見出しがたくなった伸びやかな勢いを持つ、不滅の名曲です。
★解説★
■変ロ長調 K.V.15
2楽章から成り、荘重な第1楽章と軽快な第2楽章から成ります。異なるリズム型の二つのモチーフを組み合わせて主題を構成することに興味があったように思われます。
第1楽章はアンダンテ・マエストーソ、4分の3拍子です。付点音符でがんがん叩く分厚い和音の柱に乗って特徴的な主題が提示され、ほぼ単一主題の音楽として進みます。途中は短調に傾いて静かな音楽になりますが、実に独特な雰囲気で異彩をはなつ曲です。RJP版の伴奏・演奏例では後半のリピートを省略しました。
第2楽章はアレグロ、4分の2拍子の軽妙な音楽で、ここでもピアノ・フルートが二つの異なるモチーフを奏でて両方で主題が成立するという趣向になっています。スピード感があり、1楽章の重苦しい雰囲気を一挙に晴らしてくれる快作です。
■フルートによる演奏
第1楽章
第2楽章
※フルート演奏: 大塚由貴 ピアノ(電子楽器)演奏: 石田誠司
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