■■リコーダーJP の現代作品■■

  午さがりの愁い  〜渋い味わいの独奏曲〜
作 曲 者 赤松義夫
作 曲 年 2003年
種   別 アルト独奏
段   階 第7段階
演奏時間 約3分
 演奏例演奏者 石田誠司  (MIDIチェンバロ)石田誠司


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<解説>

 ベテラン作家・赤松さんの、リコーダーJP作品では初めての短調作品です。

 陰鬱な感じのする音使いもありますが、全体的には着実に前に進んで行く感じのある音楽ですから、それほど気分が沈むことはありません。むしろ「愁い」をはね返す強い意思力、たくましく乗り越えていこうとするエネルギーに満ちています。

 赤松さんの曲は途中でよく曲想が大きく変わりますが、この曲でもやはり、中間部では拍子も調性もテンポも変わり、おだやかに明るみます。しかし、やがて暗い影がさしてきて、ダ・カーポになります。この推移部は、気分の移り行きがみごとに表現されていて、作者の確かな腕前を感じさせます。コーダは、さらに暗澹たる感じを強めて音楽をしめくくります。



<演奏上のヒント>(楽譜をクリックすると音が聞けます)

 前奏につづき、リコーダーが中低音から歌いはじめます。

(5〜6小節)


 いつもながら、長いスラーは「やわらかなタンギング」を求めていることが多いように思われます。4小節でひとつのフレーズに感じたほうがいいと思います。

 メロディーは4分音符を基調として歌い継がれ、伴奏のチェンバロが微妙な味わいを出しながらリコーダーにまとわりつくように音楽が進みます。

 途中は少しアクセントの感じが変わったりしてきます。

(29〜32小節)


 味わいのこまやかな曲ですから、こういう変化にはできるだけ敏感に反応してていねいに表現していくことが必要です。

 このあと一度 ffになるクライマックスを築きます。強い音が必要な音は高い音域になっていて、表現しやすくなっています。

 さてそのあと、こんなふうにがらりと感じが変わります。

(49〜50小節)


 ここは響きの美しい音でレガートに歌いたいところです。(石田の演奏はその点であまりうまく行っていません。すみません・・・)

 悲しみを含みつつも少しおだやかな気分になったのもつかの間、胸騒ぎがしてくるかのように下降音階が伴奏するなか、音楽が緊張感をはらんでいきます。

(57〜60小節)


 はじめにも書きましたが、この推移部はみごとで、ごく自然に冒頭のメロディーにつながります。その気分の変化をよくつかんで、うまく流れに乗ってください。

 そして間もなく、曲中でもっとも暗い響きがきかれるコーダ(終結部)に入るのです。

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