アンサンブル山手バロッコ演奏会(2003.12.14.)
★すばらしい本格アンサンブル★
サイトでも朝岡聡さんの特選情報としてご案内していた、「アンサンブル山手バロッコ」第12回演奏会にお邪魔してきました。朝岡聡さんとも初めてお会いして、しばし歓談させていただくことができました。皆さん本当に親切ですてきな人たち揃いで、お人柄がそのまま音楽に表れてくるような、楽しい演奏会でした。
■会場
港の見える丘公園から「外人墓地」のほうへ回って、すぐのところにあります。黄色いおしゃれな建物で、中は工芸品や絵画などの展示が行われていたようでした。会場となる「レクチャールーム」は2階にあり、窓からは木々のこずえが見える、雰囲気のすばらしいお部屋です。30席の客席はもちろん満席。
■楽器
正面には美しく装飾されたイタリアンのチェンバロが置かれています。「フレミッシュ型などに比べて薄くスリムなボディーで、軽快で明るい音色が特長です」と朝岡さんからもご説明があったとおりのすてきな楽器でした。下の写真は、開演前の調律のようすです。1音1音調律しなければらないオリジナルチェンバロは大変です・・・。
この美しいイタリアンのチェンバロと、バロックチェロが通奏低音を担当し、フラウト・トラヴェルソがお二人、バロックヴァイオリン、リコーダー、そして古ファゴットという皆さんで、曲によってこのうちの何人かのアンサンブルで演奏されます。また、フラウト・トラヴェルソのお二人(曽禰さん、江口さん)は、古典派の曲のさいにはキーの増えた18世紀後半スタイルの古フルートを用いられ、曲のつくられた時代に合わせた本格的な編成でした。
中でも古ファゴットは、「ベートーヴェンが亡くなる少し前(朝岡さんの解説)」である1824年製の、コピーでなく現物という貴重な楽器。奏者の鈴木さんはクリスマスにちなんで楽器にリースのようなリボンを巻いて演奏されました。
「(ハイドンやモーツァルトの曲は)クリスマスに関係ないしバロックでもない、ということで、せめてクリスマスコンサートらしくするために」という「趣旨説明」に会場が沸きます。
■楽しい朝岡さんのお話
曲の紹介や楽器についてのお話など、興味深くわかりやすい朝岡聡さんのお話をまじえながら演奏会が進みます。
リコーダーがフラウトトラヴェルソの普及につれてしだいに忘れ去られていった事情として、「よく音量がちがったということが言われるが、そんなことはない」とおっしゃり、「だがクレッシェンド、デクレシェンドなどの表現がリコーダーよりもトラヴェルソのほうが得意だった」と説明されました。そして、実際にトラヴェルソとリコーダーとでクレッシェンド演奏を披露。「こんなふうにリコーダーでは強く吹くと音程が上がってしまいます」という朝岡さんの説明に、会場のみなさんは感心したようにうなずきながら聞き入っています。
そして「音楽の性質もそういう表現が求められるものになっていったから」という説明には、私(石田)も日ごろから皆さんに説明しているのと同じだなぁと思って、深くうなずきながら聞きました。
■しっかりした音程の楽しい演奏
曲目は、ハイドン・モーツァルトなどの古典派曲をはさみながら、サンマルティーニのソプラノリコーダー協奏曲、クヴァンツのリコーダーとフラウトトラヴェルソのためのトリオソナタなどリコーダーが活躍する曲では、アンサンブルの主宰者であり司会も担当する朝岡さん自身の演奏も聞けました。
下の写真はクヴァンツのトリオソナタの演奏に臨む朝岡さんと、フラウト・トラヴェルソの江口さん、チェンバロの脇田さん、バロックチェロの中尾さんです。
朝岡さんのリコーダーはしっかりした感じの音色。的確な音程ではなやかなディヴィジョン(装飾)もまじえ、美しく演奏されていました。他のみなさんもそれぞれすてきな演奏をされていましたが、とくに通奏低音のバロックチェロを担当された中尾さんが実に正確な音程でしっかり和声感をつくっていらっしゃるのが耳に残りました。その他の皆さんも、全体に「非常に音程のいい、響きのいい演奏」で、お客さんも大満足。アンコール曲までたっぷり楽しめた2時間でした。
下の写真は盛大な拍手に応える全奏者の皆さんです。
■朝岡さんと しばし歓談
開演前のお忙しい時間を割いて、朝岡さんと20分ほどお話しさせていただくことができました。朝岡さんはリコーダーJPの活動を以前から好意的にごらんくださっており、石田がお持ちしたプレゼントの製品を「これはすごいもんなんだよ、これがあれば伴奏つきで家でも演奏できるんだ」と周囲の仲間の皆さんにおっしゃってくださっていました。
「いろんなイベントなどのときに、できる限り宣伝しますよ」という朝岡さんのありがたいお言葉を胸に抱き、これからいっそう頑張ろうという気持ちで帰路につきました。
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