■リコーダーソロイスト育ち 〜〜高橋たかねさんについて〜〜■
■ネット時代の出会い
■「リコーダーソロイスト」の製品モニター
■木のリコーダーが欲しい!
■高橋さんのお人柄
■音楽家として・リコーダー奏者として |
■ネット時代の出会い
高橋さんと知り合えたのはまったくインターネットのおかげである。かねてからリコーダーのプロジェクトについて相談に乗ってもらっていたカモンミュージック社(本社大阪)が、これまたメール上でのおつきあいで、愛知県在住の高橋さんと親交があった。それで、ものは試しとばかり、制作中の「リコーダーソロイスト」のモニターをカモン社を通じてお願いしてみたところ、快く引き受けてくださったのである。それがおつきあいの始まりだった。2001年のはじめのことである。
それからというもの、高橋さんは、忙しい合間をぬって、ほんとうによくメールをくださった。実際にお会いしたことは数えるほどしかないし、電話でお話しした機会を合わせても両手で数えられてしまうほどだと思うのだが、今やこの世で私のことを誰よりもよく理解してくださっているかたの一人であろう。
ネットによって、こういうことが可能なのだ。振り返ると感慨が深い。
■リコーダーソロイストの製品モニター
さて、モニターをお願いしたころ、まだ収録曲は半分ほどしか完成していないところだった。それを高橋さんは、プラスチックリコーダーを使って実際に1曲1曲演奏してみてくださりながら、貴重な数多くのご意見をくださった。そして、リコーダーは学校で吹いて以来まったくの初心者だった高橋さんは、メキメキと上達され、あっと言う間に、できあがっている曲は修了。奥の方の曲は、出来上がってくるのを待っていただきながらのモニタリングとなった。
そんな調子で、本の制作と同時進行で高橋さんのリコーダー練習が進み、当然ながら、曲集が発売されたころには、おおかた最後まで修了されていたのである。「リコーダーソロイスト」の第一期卒業生であることは間違いない。
高橋さん秘蔵の「リコーダーソロイスト」の裏表紙見返しには、私をはじめ、曲集の制作にかかわった作曲家・演奏家すべての直筆サインがある。高橋さんのたってのご希望で、東京にいる作曲家諸氏にまで、郵送で高橋さんの「ソロイスト」を回送し、順次サインしていったのである。高橋さんの、モニターとしての功績を考えれば、それぐらいはさせていただいて当然であろう。
でも、ちょっとミーハーな、かわいい一面を見た思いだったかも。
■木のリコーダーが欲しい!
当然にも最初はプラスチックリコーダーで始めていただいた高橋さんだったが、実は途中で「木のリコーダー」をお求めになっている。それはそうだろう。独奏リコーダーをやるのに、木のリコーダーを持たない手はない。大人が大好きでやることに使うのに、けっして高いものではない。ご相談を受けたので、大阪の竹山リコーダーさんをご推薦し、そちらでお求めいただいた。発音のやわらかな木製リコーダーの魅力に、今やすっかりとりこになられたご様子である。
というのも、竹山さんは購入後1年間無料調整してくださるので、数日間、竹山リコーダーにお預かりいただいたことがあったのだ。そのかん、高橋さんはやむなくプラスチックリコーダーを演奏されていたのだが、「木のリコーダーがなつかしい」と、しきりにおっしゃっていたのである。
それは無理もない。響きのよさもちがうが、何よりも「発音のクリアさ」が、竹山スタンダードとプラスチックリコーダーでは雲泥の差だ。
■高橋さんのお人柄
高橋さんは、あたたかで誠実なお人柄だが、それだけではなくて、実に自己主張のはっきりした、意思の堅固なかたである。結論を出したことについては、テコでも動かない頑固さ。しかしそれは頑迷とはまったく違う。熟考された上での根拠ある決心なので、誰にも文句はつけられないのである。
それでいて、彼女は知的好奇心が旺盛で、実に素早いかろやかな実行力がある。何でも知ってやろう、やってみようという意欲がすばらしい。高橋さんは、地域の合唱団の組織を中心になってされたこともある。今もそのリーダーだそうだ。それやこれや、たくさんの「やりたいこと」をお持ちなので、本当にスケジュールがびっしりなのだが、そういうかただからこそ、リコーダー独奏もやってみようと思っていただけたのだろう。
■音楽家として・リコーダー奏者として
音楽は、もちろん聴き流して楽しんでもいいし、気軽に演奏して気晴らしをしてもいい。しかし、音楽には、本当に人の心の奥底にある固いかたまりをゆっくりと溶かしたり、生きる意欲を失いかけている人の心に、あたたかいエネルギーをそそぎ込むことだってあり得る、すばらしい力を持ったものである。高橋さんは、音楽のそういう力を信じているかたである。
そういう人だから、音楽が本当によくわかる。私など、高橋さんのさりげない一言に、何度ぎくりとしたかわからない。私が制作途中に潜在的に感じていた違和感、何か違うという思いに、高橋さんの一言で気づいて対象化できたことは一度や二度ではなかった。
したがって、作曲作品においても、そういう彼女の音楽に対する感受性が発揮されていて、細かい点までよく神経が行き届いた、美しい仕上がりになっている。
リコーダーの腕前については、始めてまだ日が浅いし、また、忙しいかたなので練習時間も熱心なアマチュア奏者たちに比べたら少ないから、「ハイアマチュア」までもう一歩、というところだろう。いや、二、三歩か。しかし、焦ることはない。リコーダーは、しばらく吹かなかったからといって、そう急に下手になる楽器ではない(極めて高級な次元においてはまた別なのかも知れないが)。現在でもすでに、小さなコンサートで演奏を披露するには十分な腕前だし、何よりも、リハーサルの間にもどんどん音楽がよくなる様子は、本当に頼もしい。
高橋さんは、これからも、ピアノを教えたり、合唱団で歌ったり、医療に音楽を応用したり、いろいろな分野で活躍して行かれるだろう。そして、そういう中に、「アルトリコーダー独奏」は、確固とした地位を持ち続けるだろう。
そうそう、また作曲もしてくださいね、高橋さん。
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リコーダーJP ディレクター MIDIチェンバリスト 石田誠司 |
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