■トリルとは■
「トリル」というのは、ご承知の通り、楽譜に書いてある音と、そのひとつ上の音とをすばやく交代させながら「テロレロレロ・・・」という感じで演奏する奏法のことです。tr
と書いてあったり稲妻のようなマークがつけてあったり、または音符の上に「＋」（プラスですね）が書いてあったりすると、これをやってくれというしるしです。
現代的なスタイルの曲では楽譜に指定されていない箇所で無闇と使うとおかしい場合が多いのですが、クラシック音楽や、クラシックなスタイルの曲では、楽譜に書いていないときも、奏者の判断で、たいへんよく用いられます。とてもかっこいい効果の出る瞬間の一つですね。リコーダーJPでは、ごく初歩の段階から、トリル奏法を取り入れることをみなさんにお勧めしています。
■トリルのコツ■
さて、トリルをじょうずに演奏するコツについて、少し書いてみましょう。
トリルをかっこよくやれるようになろうと思ったら、「指によぶんな力を入れないで指穴を押さえられるようにする」ことが大切です。指によけいな力が入っていると、指がこわばってしまって、かろやかに動かせません。リコーダーの指穴を押さえるのに必要な力なんて、ごくわずかなものです。よく、低い音をうまく出すためにしっかり穴を押さえようとして、指にずいぶん力をこめて押さえている人がいますが、それは間違いです。指穴の押さえに隙間ができてしまうのは、指の位置や形が不適当だからです。力が足りないのではありません。
また、それに関連して、「指を無駄に高く上げすぎないこと」も大切です。指は、指穴から１センチも浮いていれば十分です。指を最低限の浮かせかたで指穴を開けるようにしていれば、トリルのときも、指の動きは最低限ですみますから、具合がいいのです。
■トリル用の指使い■
それとともに、「トリル用の指使い」を覚えておくことです。たとえば、ミとファのトリルをやるのに、「１と２の指穴を交互にふさぐ」なんていう方法では、なかなかうまく行きません。この場合は、ミの「替え指」である、「０２３」の指使いを活用するのです。ただし、「０２３」の指使いで出るミの音は、ふつうの（つまり「０１」の）ミの音よりも力がなく、音程も微妙に違いますから、トリルのとき以外はむやみと用いるべきではありません。もちろん、わざとそういう力の弱い音を出したい場面であれば使ってみるのも悪くありませんが。
※指使いを数字で表す方法は、簡単に書き記せるのでよく用いられます。親指の穴を「０」として、以下、上から（つまり左手人指し指から）順に１、２、３・・・と表してあるのです。したがって、上の「０２３」とは、「左手の、親指・中指・薬指を押さえる」という意味です。
■薬指を使うトリル■
右利きの人の場合、とくに左手の薬指を使うトリル・・・たとえば上の「ミとファのトリル」がそうですが・・・は、なかなかすばやく鮮やかにできないものです。これはやはり、ある程度の慣れが必要になります。
ですが、コツとしては、指を伸ばし気味にして、指全体をつけ根から動かすようにすると、比較的楽にできます。指の途中の関節の曲げ伸ばしでやろうとしても、とうてい素早さは出ません。
■かっこいいトリル■
かっこいいトリルは、「だんだん速くなるトリル」です。音の交代が１０回以上も行われる、「テロレロレロレロレロレロレロ・・・・」というような長いトリルならばもちろんですが、音の交代が２回か３回で終わるような「テロレロレロ」ぐらいの短いトリルでも、「最初の音交代よりも、後の音交代になるほど素早く」というのが、ひとつの形です。
トリルは、なかなか思うようにできなくて、演奏中に「あ、またトリル失敗しちゃった」とがっかりすることも多いものですが、それだけに、うまく指の力が抜けてばっちりキマったときには、本当に快感！ですね。
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