■「風の音・木の響」 〜〜早川廣志さんについて〜〜■
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■木の笛に魅せられた人
早川さんが主宰されている「アトリエ奏」の企画の一つに、「風の音 木の響」というシリーズのコンサートがある(開催地は大阪)。リコーダーのほかバロックオーボエなども演奏されるAさんと、リコーダーとバロックフルート(フラウト・トラヴェルソ)を演奏される早川さん、そしてチェンバロ奏者Yさんが出演され、楽しいトークをまじえながら、聴衆のすぐそばで奏者が演奏してくれるすてきな小演奏会である。
「風の音 木の響」とは、実によい名前だと思う。作曲家・新井さんも語っていたが、リードやマウスピースなどの装置が振動するのでなく、風(空気)が直接に発する音を用いるのが、リコーダーやフルートなど「笛」属の特徴である。そして、それが木の楽器から発せられるときの、あたたかで親しみやすい味わいに魅せられたところに、演奏家・早川廣志さんの原点があったのだろう。
■早川さんのお人柄
ひとたび(タテであろうと横であろうと)笛を持って舞台に立たれると、眉間にシワを寄せてじつに厳しい表情も見せる早川さんだが、ふだんはほんとうにソフトなお人柄で、語気を荒げるとか人を押しのけてまくしたてるとかいうところを、まったく見たことがない。いつもおだやかに、言葉を選びながらにこやかに話される、教養ゆたかな人である。腰も低くて、プロ風を吹かせたり威張りちらしたりというような姿勢ともまったく無縁だ。
そして、既存の一般的な価値観にとらわれることなく、自由に柔軟に考えることができる、思考の幅広さ、想像力の豊かさ。私ごとだが、独奏リコーダーの魅力をたくさんの人に知っていただくために、長い間いろいろ考えたあげく、まずはリコーダーソロイストという曲集をつくろう、そしてその後、こうもやりたいああもやりたい・・・という、いろいろな意味で途方もない構想をいだいて相談を持ちかけたときにも、早川さんはすぐに理解してくださったし、実際、こころよくいろいろなご助言・ご協力をいただけたのである。
■早川さんの演奏
早川さんは音の生気を重視される音楽家だと思う。お人柄はおだやかだが、音楽はむしろ激しい。音たちがいつもいきいきしていて、それが時には荒荒しく感じられたりするほどだ。
リコーダーの腕前ももちろんすばらしいが、私の考えでは、フラウト・トラヴェルソ奏者としての早川さんは、さらにすばらしい。あんなに楽器をよく鳴らせて流麗自在に歌えるフラウト・トラヴェルソ奏者は、そんなにたくさんいないと思う。
リコーダーJPではテレマンのソナタなどの「演奏例」を早川さんにお願いしているが、早川さんのフラウト・トラヴェルソが聴ける機会があったら、ぜひお一人でもたくさんのかたに、お出かけいただきたいと願っている。
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リコーダーJP ディレクター MIDIチェンバリスト 石田誠司 |
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